2020年5月下旬、今回は「大和三山」を登ってきました!
大和三山(畝傍山・香具山・耳成山)は奈良県橿原市にある3つの山の総称。奈良盆地南部を高台から見渡すと、一際美しい二等辺三角形の山が並んでいるのがわかります!
”橿原”という場所は飛鳥時代・持統天皇の頃に「藤原京」が栄えた地域。まさに天皇家のルーツとも言える日本の礎となった地域です。
日本史上で最初の”条坊制”を布いた本格的な都である藤原京。その藤原京の特に重要な”大極殿”などの宮城が、大和三山に囲まれた中心部に置かれました。
現在の三山中心部は「藤原宮跡」として賑わい、菜の花やコスモスなど四季折々の花が咲く旧跡から大和三山が眺望できるスポットとなっています!
大和三山は2005年に「国の名勝」として指定された他、2007年には世界遺産の暫定リスト「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の1つとして登録されました。
今回はそんな日本の歴史に非常に深い関わりがある大和三山を、畝傍山→香具山→耳成山の順で登ってきました!
標高:畝傍山(198m)香具山(152m)耳成山(139m)
場所:奈良県橿原市
1座目:畝傍山
まずは一座目「畝傍山(うねびやま)」
畝傍山は、初代天皇とされる”神武天皇”が神武東征の末に辿り着いた「橿原神宮」のすぐ北西にそびえる山です!
瀬戸内火山帯に属しており、山名である”畝傍”には「火がうねる」という意味があり、かつては「畝火山」とも記されていた山だったそうです。
万葉集の中では「瑞山」とも詠まれた、長い歴史を感じる山!
現在は、ハイキングコースが整備され、橿原神宮の参拝と併せて登るのが一般的です!
畝傍山の登山コース
畝傍山には東・西側に2つの登山口があります!
- 東側:橿原神宮(北参道)→畝傍山
- 西側:畝火山口神社→畝傍山
畝傍山周辺には「橿原神宮前」「畝傍御陵前」「橿原神宮西口」と3つの駅があるので、橿原神宮への参拝と併せてハイキングを楽しめるコースとなります!
マイカーの場合も、畝傍山の山腹にコースが整備されいますので、駐車場から周回ルートの計画もオススメ!
マイカー・電車ともに登山口へアクセスしやすいハイキングコースとなります♪
東・西どちらのコースも、登山口から山頂までは30分ほどで登ることができます!
駐車場からの周回ルートの場合は約1時間!
※今回は緊急事態宣言解除後すぐということもあり、橿原神宮への参拝は控えて、畝火山口神社からの周回ルートを歩くことにしました!
今回のプラン!
- 畝火山口神社(13:26)→畝傍山(13:34-45)
- 神宮側登山口(13:54)→畝火山口神社(14:09)
距離:2.3km
活動時間:0:43
駐車場・アクセス
畝傍山への登山は東側の橿原神宮からスタートする場合が多いですが、今回は西側の登山口「畝火山口神社」からスタートします。
畝火山口神社には参拝者用の駐車場とトイレが整備されています。
マイカーで橿原神宮からスタートする場合は、「橿原神宮参拝者用駐車場」が利用できます!
「橿原神宮駐車場」:Google Mapへ!
〈アクセス〉
マイカーの場合
- ナビの設定は「畝火山口神社」or「橿原神宮」
- 京奈和自動車道「橿原高田IC」から約10分
公共交通機関
- 東登山口:近鉄「畝傍御陵前」or「橿原神宮前」徒歩10分
- 西登山口:近鉄「橿原神宮西口駅」徒歩10分
畝傍山に登山
〈13:26〉それでは畝火山口神社の鳥居前から登山スタート!
登山口は鳥居横のこの道ですが、畝傍山へ登る前にまずは境内でお参り!
こちらが畝火山口神社のご本堂。
畝火山口神社の創始に関してはわかっていないことが多いらしいのですが、この神社はもともと畝傍山の西麓に古くからあった神社だったそうです。
一度だけ、畝傍山の山頂へ移されたのですが、昭和15年に行われた橿原神宮の拡大工事の際に、神宮境内や神武天皇陵を見下ろす位置にあることから、現在の位置へ移りました。
ご本尊は”安産の守り神”として信仰を集めています。
鳥居前に戻り、畝傍山へ登っていきましょう!
スタートからこのようにとても歩きやすく整備されている登山道。ブログ主は他のコースも歩いたことがありますが、畝傍山の登山道は全体を通して非常に良く整備されています。
橿原神宮への参拝の際に、ご家族で登られる方も多いですよ♪
最初の分岐。左側の道を登っていきます。地図で確認したところ右側の道は山頂方面につながってないっぽい。
分岐から少し登るとルートが交差するポイントがあります。山頂は左へ。
右側の道は橿原神宮の北参道から続く山腹のルート。帰りはこの道を通ってここへ戻ってきます。
なだらかな道を歩いていく。右にある登っていく道はショートカットできる直登ルートです。
どちらを登っても、あまりコースタイムに影響がないから、ブログ主はなだらかな巻道へ。
巻道は時折展望が開けます♪
遠くに見える山並みは、信貴山~生駒山へ続く生駒山地!
お!ツツジだー(*´∀`*)
外出自粛の間にすっかり初夏になりましたね~。ツツジもそろそろ終わりの時期です。
巻道を進むとT字路に出ました。ここから左に曲がるとすぐに、
〈13:34〉畝傍山の山頂に到着です!スタートから15分かかりませんでした。
小さな山だからすぐに山頂ですね♪
一度山頂へ移った”畝火山口神社”の社殿跡。
三角点!
畝傍山の山頂からの景色♪
盆地の中にポツンと佇む、美しい円錐形の山がこの後向かう”耳成山”です!
こっちが”香久山”!
香久山は竜門山地の端にある山だから、少し形は他の二山と異なりますが、「天」という尊称を付けて「天香具山」とも呼ばれる山なので、大和三山の中でも特に神聖視されてきた山です。
耳成山・香久山とこの畝傍山の中心にある、広場のようなところが”藤原宮跡”です!藤原京時代に日本の首都とされてきた場所。
桜井・榛原方面には、三輪山や鳥見山・貝ヶ平山が見渡せます!
標高の低い大和三山ですが、盆地の平地内にある山なので、展望は思ったよりも楽しめます♪
〈13:45〉10分ほど景色を楽しみ、下山開始!
下りはこちらの看板を目印に、橿原神宮方面(左)へ下っていきます!
畝傍山は火山でもあるので、山頂付近は少しゴツゴツした岩が目立ちます。露岩の表面は少し滑りやすいので注意して下さい。
しばらく下ると道は穏やかになります。
10分もしない内に、広場が見えてきました!
橿原神宮側の登山口である、この広場は旧日本海軍の航空母艦「瑞鶴」の慰霊碑がある広場です。
広場から橿原神宮の北参道へ。
碑文に関わる機種と特殊兵器の説明板。
ちなみに余談ですが、今回登った”畝傍山”から名付けられた防護巡洋艦「畝傍」という軍艦もあったそうです。
「瑞鶴之碑」広場の入口付近にある”イトクの森古墳”。
慰霊碑のある広場を出て、遊歩道を進むと、
橿原神宮の北参拝道に突き当たります。
この北参拝道を進めば、橿原神宮の本殿です!
参拝される方はそのまま進んで、ゴールを橿原神宮前に設定するとより魅力的なプランになります♪
ブログ主は今回は橿原神宮へお参りはせずに、こちらから畝火山口神社へ戻ります。
再び山道へ入ると道沿いに、東大谷日女命神社があります。
山腹の道を西へ進んでいく、
北参拝道から10分ほどで、山頂・畝火山口神社との分岐と合流しました。
〈14:09〉畝火山口神社の登山口にゴール!
コースタイムは約45分!気持ちのいいハイキングコースでした♪
この日はそのまま残り二山へ登るので、駐車場からすぐに次の”香久山”へ出発!!
2座目:天香具山(香具山)
続いて2座目は「香具山(かぐやま)」!※香久山とも表記されます。
畝傍山と耳成山が”単独峰”なのに対して、香久山は多武峰から続く”竜門山地”の端にあたる山です。
どちらかといえば、山というよりは小高い丘のような山容が特徴です。
ですが大和三山の内、最も神聖視された山として知られています。香久山には古くから「天」という尊称が付き、天香久山・天香具山(あまのかぐやま・あめのかぐやま)とも呼ばれます。
また藤原京のすぐ東にそびえる山であることから太陽信仰の地であったとも言われています。
山頂の北麓には「天香山神社」があり、南麓には天照大神の岩戸隠れの伝承地とされる岩穴や巨石を神体とした「天岩戸神社」。東側には県立「万葉の森」と南東部に「香久山公園」があるので、小さな山ながら非常に見どころの多い山となります!
香久山(天香久山)の登山コース
香久山の登山コースは、
- 西側:香久山観光トイレ(無料駐車場)→香久山
- 北側:天香山神社→香久山
- 南側:天岩戸神社→香久山
などのコースがあります。
マイカーの場合、香久山観光トイレにある駐車場を利用できるので、西側から登り始めるのがオススメです!
山頂から北側・南側のどちらか好みのルートで下山すると歩きやすいと思います。どちらへ下山しても登山口から山腹の農道を進めば、西側の登山口へ戻ることができます!
どのルートも山頂までは15~20分ほどで登れます!
駐車場を起点に周回しても1時間以下のコースタイムです!
今回は、観光トイレからスタートして西側登山口から香久山へ登ります。下山は北側に進み「天香山神社」へ下山しました。
今回のプラン!
- 観光トイレ・駐車場(14:29)→香久山(14:34-40)
- 天香山神社(14:44)→駐車場(14:50)
距離:1.3km
活動時間:0:21
駐車場・アクセス
香久山の西麓にある「香久山観光トイレ」の無料駐車場が利用できます!
※畝傍山から香久山観光トイレまでは車で約10分でした!
〈アクセス〉
マイカーの場合
- ナビの設定は「香久山観光トイレ」にセット!
- 橿原神宮から県道125号線経由で10分
- 大和八木駅から国道165号線経由で10分
公共交通機関
- JR「香久山駅」から徒歩25分
- 近鉄「耳成駅」から徒歩25分
天香具山に登山
〈14:29〉2座目の「香久山」出発!!
観光トイレの横にあるこの道を真っ直ぐ進んで登山口へ。
天理教の施設の前を通り、林道を登ると登山口です!
この登山口前にある農道は、天香山神社~ココ~天岩戸神社まで繋がっているので、下山後はこの道を戻ってきます。
西側登山口から山へ入ります。
香久山のコースもこんな感じに木の階段がしっかり整備されていて、非常に歩きやすいコースとなっています。
登山口から2分ほどで山頂手前の分岐!左が山頂・右が天岩戸神社方面です。
〈14:34〉駐車場からたった5分ほどで香久山の山頂に到着です!!
天香久山の山名板。
香久山の山頂には”國常立神社”があります。小さな祠が2つ並ぶ神社。
高龗神(たかおかみのかみ)を祀り、俗に”雨の竜王”と称される雨の神様です。
國常立神社の祠の前に、深さ1mほどの壺が埋められており、干天時にこの壺の水を替えると雨が降ると伝えられています。
香久山の山頂からの景色。西側に展望があります。
遠くにうっすら見える山並みが、二上山から続く”ダイヤモンドトレール(金剛山地)”の稜線です!
ダイトレ手前に見える山が先程登った畝傍山。香久山から見るときれいな形♪
〈14:40〉次に耳成山へ向かうので、あまり休憩は取らずに下山開始!
國常立神社の看板脇から北へ進みます。するとすぐに分岐。
この分岐は右へ進むと”東麓にある”万葉の森”へ抜けることができますが、今回はここを左へ進み”天香山神社”方面へ下山します。
今回は大和三山を午後から歩き始めているのであまりゆっくりできませんが、香久山周辺にはこんなにも史跡・神社などの見どころがまだまだあるので、時間に余裕を持ってじっくり見て周るプランのほうが断然おすすめです!
天香山神社へ向かって下っていく!
山頂から5分ほどで、「天香山神社」の境内へ下れました。
天香山神社は櫛真智命神(くしまちのみことのかみ)を祀る神社。
境内にある「朱桜(にわざくら)」という古名で知られる「波波架の木(ははかのき)」は、その昔、占いに用いられていたと伝わります。
この囲われている石なんだろう?占いに関係があるのかな?
天香山神社の鳥居前。
鳥居前からこの農道を進むと、
西側の登山口に5分ほどで戻れました。
あとは観光トイレへ。真正面に見える山が次に向かう”耳成山”です!
〈14:50〉観光トイレの駐車場に戻りました。
スタートから20分ほどで戻ってくることができました。最後の耳成山へ車移動!!
3座目:耳成山
ラスト3座目は「耳成山」!
耳成山は大和三山の中で最も北に位置する山。山の形が特に美しい円錐形で、盆地の真ん中にポツンと姿が浮かんでいるような山です。
この山の形から、余分なところがない山=「耳無し山」という山名になったという説があります。麓にはかつて「口無しの井戸」や「目隠し川」があったとされる。
また天然の山ではなく、古代に造営された”上円下方墳”であるとの説もあります。※規模の大きさから1から造られた古墳ではなく、天然山を改造したという説もあり。
山内には山頂手前に「耳成山口神社」があり、南麓には桜の名所としても人気のスポット「耳成山公園」が整備され、市街地の真ん中にある山ということで市民の憩いの場として賑わっています!
耳成山の登山コース
耳成山には3つの登山口があります。
- 南側:耳成山公園→耳成山
- 北東側:登山口→耳成山
- 北西川:登山口→耳成山
きれいな円錐形の山なので、どの登山口から登っても距離・コースタイムはほぼ同じ。
一番利用者が多いコースは、駐車場のある「耳成山公園」からの南側コースとなります!
また山腹には渦巻状にコースが整備されいるので、どこから登り始めても各コースへ連絡することができます。
各コースとも、登山口から山頂までは15分~20分ほどで登れます!
耳成駅から山頂までのコースタイムは約30分!
今回は、耳成山公園からスタートして南側コースを登ります!下山は北西川へと進み、山麓を公園まで戻りました。
今回のプラン!
- 耳成山公園(14:59)→耳成山(15:04-18)
- 北西側登山口(15:22)→耳成山公園(15:28)
距離:1.7km
活動時間:0:29
駐車場・アクセス
南麓の「耳成山公園」には駐車場があります!
※香久山観光トイレから車で5分ほどでした!
〈アクセス〉
マイカーの場合
- ナビの設定は「耳成山公園」にセット!
- 大和八木駅から国道24号線経由で約7分
公共交通機関
- 近鉄「耳成駅」から徒歩10分
- 近鉄「大和八木駅」から徒歩15分
- JR「畝傍駅」から徒歩15分
耳成山に登山
〈14:59〉耳成山へ登山開始!
駐車場から池を半周して公園内の歩道を進みます。
公園のトイレ。
このトイレの目の前、道路を挟んで対岸が耳成山の南登山口になります。
南登山口からのルートは、山頂の手前にある”耳成山口神社”への参道となっています。
右へ進む道は北東側ルートと合流できる道。耳成山のコースは山頂から渦巻状に各ルートが繋がっています。ルートマップを見ると巻き貝みたい(笑)
灯籠が並ぶ耳成山口神社の参道を登っていく!
数分で耳成山口神社に到着!
耳成山口神社は大山祇神(おおやまつみのかみ)・高御産霊神(たかみむすびのかみ)を祀る神社です。明治以前は”天神社”と呼ばれていたそう。
農耕神であり、雨乞いの神様であったと伝わっています。
山頂へは鳥居横の小道を進みます。※階段ではなく、横の小道です。
小道を進むとすぐにルートが交差するポイントがあります。山頂は真正面の道。
下山は山頂から再びここへ戻り、左側の道を進みます。
いざ!大和三山ラストの山頂へ!
〈15:04〉ということで耳成山の山頂に到着!山頂は木々に囲まれた広場になっています。
三角点ターッチ!!
耳成山の山名板。
切り株のベンチ。このベンチからは、
二上山が真正面に眺められます。
南東側には先程登った香久山。
〈15:18〉切り株のベンチで10分ほどのんびり休憩して、下山開始!
山頂から一旦、交差ポイントに戻りました。
この山腹のゆるやかな道を進み、北西側に下っていきます。
少し進むと左手に下る道があり、ここを下っていきます。
ちなみにここの分岐から山頂方面の斜面を見ると、うっすらとした踏み跡があります。
たしか以前登ったときは、山頂からここへ直接下れるルートが整備されていた記憶があります。廃道になったのかな?
分岐から下り始めると5分ほどで祠が見えてきました。
〈15:22〉ここが北西側の登山口です!
あとは道路へ出て、
〈15:28〉山麓に沿って進めば、スタート地点の耳成山公園に戻ってきました!
耳成山のコースタイムは約30分!
これで大和三山を制覇です\(^o^)/
まとめ
ということで大和三山への登山でした!
大和三山は”藤原京”に関わる歴史が非常に深い山々。奈良盆地が見渡せる周辺の山々に登っておられるハイカーさんなら、美しく並ぶ大和三山を眺める機会も多いと思います!
どのコースも距離・コースタイムが短く、少し歩き足りなさを感じてしまうかもしれませんが、日本の歴史にまつわる史跡・神社など非常に多くの見どころがありますので、特に歴史好きの方にはオススメです!
また、山行計画にボリュームが欲しい場合は徒歩で大和三山を巡るのもオススメです!
耳成駅からスタートして耳成山→香久山→畝傍山、そして橿原神宮への参拝し、ゴールを橿原神宮前に設定すると、歩きごたえがあり思い出深い山旅になると思います♪
耳成山→香久山へ向かう際は”藤原宮跡”を歩いてみてもいいですね♪