2021年8月初旬、今回は熊野古道「伊勢路」に挑戦!
前回のパート⑭では、二木島駅から二木島峠・逢神坂峠と石畳・猪垣の美しい峠を越えて、海が広がる新鹿駅まで進みました!
今回のパート⑮では、「波田須の道」「大吹峠」新鹿駅~大泊駅の区間を歩きます!
この区間では、秦の方士”徐福”の伝承地を巡る「波田須の道」と、石畳の古道感あふれる「大吹峠」を越えて進みます!
伊勢路では最も古い”鎌倉時代の石畳”や”徐福伝説”の史跡など、距離は短いコースながら変化に富んだ非常に面白いコースです♪
伊勢路1回目「伊勢神宮・伊勢市駅~田丸駅」はこちら↓
前回の「二木島峠・逢神坂峠」二木島駅~新鹿駅はこちら↓
次回、「松本峠」大泊駅~熊野市駅・有井駅アップしました!
『伊勢路』のオススメコースについてまとめました↓
今回の熊野古道「伊勢路」プラン!
15回目は「波田須の道・大吹峠」新鹿駅~大泊駅
今回は「波田須の道・大吹峠」新鹿駅~大泊駅の区間を歩きます!
波田須の道(前半):新鹿駅からスタート!海水浴場から線路沿いを登り、民家の小道を抜けて西行松がある峠を越え、波田須の集落へ!波田須神社までの短い古道は”鎌倉時代”の石畳が残る!!
波田須の道(後半):波田須神社から徐福伝説が残る波田須の里を巡る!”徐福の宮”などの史跡を巡り、波田須駅へ!
大吹峠:波田須集落を抜けて国道に出ると登り口!大吹峠への登りは石畳!峠からの下りは竹林の道を進みます。麓へ下ると海水浴場がある大泊駅にゴール!!
このコースの総距離は約7km!
標準コースタイムは約3時間30分です!!
大吹峠『観音道・大観猪垣道』について
区間後半の「大吹峠」には複数のルートがあります!
- 大吹峠ルート(伊勢路本線)
- 観音道
- 大観猪垣道(大吹峠・観音道をつなぐルート)
「観音道」は大吹峠の北側を通る古道。今はなき”比音山清水寺(泊観音)”への参道であったルートです!
伊勢路の本線は大吹峠を通りますが、観音信仰の盛んな江戸時代にはこちらを利用する人が多かったそうです!”西国三十三所霊場”を模した33体の観音石像が古道沿いに並んでいます!
そして「大観猪垣道」は、観音道と大吹峠を繋ぐルートとなります!
古道の伝承を頼りに、地元の方々が復興したルートです!その名前の通り、ルート沿いに288mにもおよぶ猪垣が延々と続く魅力的なルートとなります!
マップを見ていただくと、大泊駅から3つのコースを周回しやすいルートとなるので、伊勢路の番外編としてまた歩きに来たいと思います♪
追記:『観音道』を歩いてきました!!
今回のプラン・山行データ
- 波田須の道:新鹿駅(9:32)→西行松(10:07)→波田須神社(10:22)
- 波田須の道:徐福の宮(10:35)→波田須駅分岐(10:45)
- 大吹峠:登り口(11:06-25)→大吹峠(11:33)→大泊駅(12:14)
駐車場とアクセス
マイカーの場合の駐車場
マイカーでアクセスする場合は、
- 新鹿海水浴場P
- 波田須側「大吹峠」登り口P
などの駐車場があります!
スタート地点の新鹿駅側には「新鹿海水浴場」付近に多数の駐車場があります!
国道311号線沿いの「新鹿観光協会」付近に駐車場が多い!
”海水浴場”の駐車場なので、夏の海水浴シーズンは有料となります!ご注意下さい!
また波田須駅側の「大吹峠登り口」にも駐車場があります!
こちらは中間地点にある駐車場ですので、「波田須の道」と「大吹峠」を分割して歩く場合に便利!!
公衆トイレや東屋あり!!
※ゴールの「大泊駅」付近にも海水浴場の駐車場がありますが、おそらく海水浴場シーズン限定かもです!
アクセス
〈マイカーの場合〉
- 新鹿駅:紀勢自動車道「熊野新鹿IC」から約3分
- 大泊駅:「熊野大泊IC」から約5分
〈公共交通機関の場合〉JR紀勢本線
- 紀伊長島駅→新鹿駅〈990円〉
- 新宮駅→新鹿駅〈510円〉
- 大泊駅→新鹿駅〈190円〉
熊野古道「伊勢路」⑮新鹿駅~大泊駅
波田須の道 前半:新鹿駅→西行松→波田須神社
〈9:32〉前回の「二木島峠・逢神坂峠」に引き続き、新鹿駅からリスタート!!
”新鹿”って「あたしか」って読むんですねー(゚∀゚)!”しんが”だと思ってた。
駅から国道に降りて、熊野古道に合流しましょう!
駅前から道標に従って路地を下っていきます。
こういう路地の細ーい道ってなんか楽しい♪
国道に下ってきました!突き当りを右折すると、
〈9:38〉すぐに徳司神社の鳥居が見えてきます!
境内には楠の巨木がある木陰が涼しい境内!本殿の丸石の石垣が印象的です!
『西国三十三所名所図会』には徳司明神社として「新鹿村の出端れ、街道の右の傍にあり」との記述があり、その時代から古道巡礼の旅人を見守ってきた歴史ある神社です!
徳司神社の目の前には新鹿海水浴場が広がります(*´∀`*)!!
さすが海水浴シーズン!!泳ぎにきてるお客さんでいっぱいだー!!
ちなみに徳司神社もシーズン中は駐車場をお借りできます。
そのまま海水浴場を進んでいきましょう!国道を進んでもOKですが、すぐに合流できるので海の風景が楽しめる海水浴場を行く!
で、国道に戻ると右手に小道があります。
道標を頼りにJRの線路沿いを登っていきます!
少し高台から海水浴場!線路と山と海!!このタイミングで電車が走っていたら絵葉書になりそうな風景♪夏やな~。
どんどん登って民家の前の小道を登っていくと、
そのまま山道に入ります。
しばらく登ると祠と鳥居。
その祠の先で国道に合流!
少しの間、国道沿いを進むと、
〈10:02〉トンネルの手前、左手に石段の登り口があります!
トンネルの上部を通過するように登って行き、
数分進めば、峠のようなところに出ます。
鶏さんに占拠されている峠(゚∀゚)!!
〈10:07〉この峠には西行松の説明板が立っています!
西行は、僧侶であり歌人の”西行法師”のこと。この峠にはかつて茶屋があり、軒先にある一本松の下で一服したことから”西行松”と呼ばれるようになったそうです。
西行法師といえば、吉野山にある桜や紅葉の名所”西行庵”に以前訪れました!武士を捨て、法師になり3年間佇住まいしたと伝わる庵です。
「西行庵」はこの記事のトップ画像↓
また奈良・大阪の境にある金剛山地の大和葛城山の麓にも、西行法師の終焉の地”弘川寺”があります。
峠付近には民家が並び、その軒先というか庭先を抜けていきます!さっきのニワトリさん達は峠のお家の子達ですね。
峠から少し下ると集落が見えてきました!そのまま道なりに進んで、
集落内の道路に降りると、すぐ右手に坂があります。
〈10:17〉坂を登ると、美しい石畳と「波田須の道」の石碑があります!!
「波田須の道」のハイライトはこの石畳(゚∀゚)!!
この区間の石畳は、なんと”鎌倉時代”の石畳です!!
伊勢路を含めて熊野古道の石畳は、江戸時代のものが多く、こちらの鎌倉時代の石畳は伊勢路で最古!!
江戸時代の石畳と比べると、敷かれている1つ1つの石がデカイ(゚∀゚)!!
石畳道を少し登れば、下りに転じます。峠のあたりの石垣は茶屋跡かな?
下り道も石畳!!
下り始めてようやくレスキューポイントの木柱!たった3番まで!!これまでで最短ですね!
猪垣に石畳!短いながら古道らしいコースです♪
わずか5分ほどで反対側の石碑が見えてきました!
〈10:22〉ここには波田須神社があります!
『南牟婁郡誌』によれば、この神社の創建は1064年であるらしい。明治期に、この地の徐福神社、稲荷神社と合祀して波田須神社と号しましたが、昭和に復興されました。
神社の鳥居前からは波田須の海が見渡せます(*´ω`*)!
波田須の道 後半:徐福の宮→波田須駅
神社から下って国道を横断!
徐福茶屋の脇道を下って、波田須の里を巡っていきましょう!!
徐福茶屋は、たぶんカフェ的な旅の休憩所だと思います。コロナの影響なのか8月中はお休みされているようでした。
徐福茶屋付近から見た熊野灘と波田須の里!!
波田須の里は、秦の方士”徐福”にまつわる伝承が残る集落です!
不老不死の霊薬を求める秦の始皇帝は、方士”除福”を蓬莱島に派遣しました!ですが、ついに除福が秦に戻ることはありませんでした。
中国の『史記』に記されている伝説の島”蓬莱島”が、この日本を指しているとされ、日本各地に徐福上陸地の伝説が残っています。
この”波田須”を含めた熊野もその伝承が残る地の1つ。
嵐で徐福の船が波田須の”矢賀”の磯に漂着、当時の矢賀集落には家が3軒しかなく、与八・文吉・八郎兵衛が交代で世話をしました。
帰国を断念した徐福はこの地に永住することを決意し、焼物、医薬、土木、農業、捕鯨などを里に伝えました。
波田須の残る”窯所・釜屋敷”などの地名はその名残であるようです。
また里の名前は、もともと「秦住(はたす)」と書き、のちに「波田須」に変わったとされます。
徐福の船出は約2200年前。当時の日本は縄文~弥生への移行期でした。この地域では、窯跡・陶片・秦時代の貨幣「半両銭」などが多数出土しています!
では徐福伝説ゆかりの波田須の里を散策していきましょう!
波田須の里!!集落の中に一際大きな楠の木が立っています!その足元に”徐福の宮”があるので、立ち寄りましょう!
徐福の宮へは、この左手の白い手すりがある小道を下っていきます。
ちなみに徐福の宮は、伊勢路のコースから少し外れます。立ち寄らない場合はここをそのまま道なりに真っすぐ進んでいきましょう。
楠の大木を目指して、集落の小道を抜けていきます。
〈10:35〉徐福の宮に到着です!!
明治期に先程の”波田須神社”に合祀されましたが、戦後に復興してこの地に祀られています。
徐福の宮がある小さな丸山は”矢賀の蓬莱山”と呼ばれます。伝説の地”蓬莱島”の蓬莱山!
秦の始皇帝が求めた不老不死の霊薬は、この地に自生するクスノキ科の「天台鳥薬」だとも云われています。
丸山には稲荷神社とその奥に徐福の墓の石碑が並んでいました!
ちなみに新宮にある阿須賀神社の裏手にある山も”蓬莱山”。阿須賀神社にも”徐福の宮”が祀られています。
また新宮駅から100mほどのところにも「徐福の墓」があり、このお墓を中心に整備されたのが、「徐福公園」となります!
「阿須賀神社」はこの記事の前半で訪れました↓
「徐福公園」はこちら↓
それでは先へ進んでいきましょう!
徐福の宮から山裾の道を進むと、
徐福の宮への分岐で離れた伊勢路の本線と合流です!
林道沿いに進んでいきます。
山と磯の風景♪
足元に見える建物あたりにJRの線路が見えます。波田須駅もあの辺り。
斜面に並ぶ集落の中に分岐があります。
〈10:45〉ここが波田須駅への分岐です!
大吹峠:登り口→峠→大泊駅
駅へは向かわずそのまま伊勢路を進んでいきましょう!分岐から集落の坂道を登っていく!
しばらく登ると”おたけ茶屋跡”の説明板があります。
昭和のはじめごろまで、ここで茶屋が営まれていたそうです。茶屋で振る舞われれる”こけら寿司”が名物で、そのお寿司を作る”おたけお婆ちゃん”の名前がそのまま茶屋名となりました!
食べてみたかったなー(*´ω`*)
茶屋跡のすぐ先に、小さな石の道標。
道標の向かいの小道を下っていきます。
〈10:55〉下って行くと”文字岩”という大きな岩があります!
「勤愼忍」と刻まれています。波田須に隠棲していた西丹後守は仇討ちを返り討ちにし、自戒の言葉としてこの岩に刻んだ。
筆跡は徳川頼宣の侍講の李真栄によるものなのだそう。
では波田須の集落を抜けて大吹峠の登り口へ向かいましょう!
正面の白い車の奥にある坂道を山へ向かって登っていきます!
少し急な山道を登っていくと、
国道311号線に久しぶりの合流!
そのまま国道に沿って進むと、右手に公園が見えてきます。
〈11:06〉公園内を進めば、大吹峠の登り口に到着です!
登り口には東屋があります♪少し休憩!
冒頭でご紹介した波田須側の登り口の駐車場はここです。公衆トイレもあります。
〈11:06〉東屋で少しカロリー補給して行動再開!!
大吹峠へ登っていきましょう!
比較的に緩やかな峠道♪
大吹峠は標高200mほどで、登り口から峠までのコースタイムも30分ほどです!
レスキューポイントの柱!14番だからちょい短め!!
伊勢路では珍しい竹林の古道!
からの苔が美しい石畳の階段!!
しばらく登って、この石垣を拔けると、
〈11:33〉大吹峠に到着です!!
大吹峠にも「大吹茶屋」という茶屋がかつてあり、熊野詣の旅人の憩いの場であったようです。
峠付近には、バラン、ハナミョウガ、竹が植えられ、殺菌作用のあるそれらの葉に、オニギリや寿司を包んでいたそう!
葉っぱで包まれたお弁当を熊野古道で食べてみたいなー(*´∀`*)
大吹峠では、伊勢路本線と「観音道」へ続く『大観猪垣道』が分岐します!
今回はそのまま本線を辿って下ります!また番外編として観音道・大観猪垣道は歩いてみたいなー。
峠からの下りは竹林の風情ある道♪
これまでの伊勢路の峠道とまた一味違っておもしろい!
半分を通過!
樹林帯に続く石畳!
猪垣と石畳!
どんどん下っていくとラストの14番!
説明板と石碑とお地蔵さん。
説明板から下ると、
〈11:58〉麓の道に突き当たります!
ここが大泊駅側の登り口です!
ゴールの大泊駅へ向かいましょう!登り口から道なりに進んで国道に合流!突き当りを右折する。
国道から見渡す大泊海水浴場!!海のブルーが美しい♪
正面やや左に見える山並みが次回の「松本峠」です!!
これまで海岸沿いにずっと進んできた伊勢路も、次回の松本峠が最後の峠道となります!!
今回のプランでは、最終目的地を新宮の熊野速玉大社に設定しているので、松本峠を越えて以降はずーっと七里御浜の浜辺を進んでいきます!
速玉大社への旅を伊勢路の第一部としてまず完走して、本宮大社へ向かう「本宮道」は第二部としてまた秋ごろに挑戦かなーと考えています。
でも宿泊を伴う古道旅になりそうなので、正直コロナでいつ挑戦できるかわからん…(´・ω・`)
松本峠からさらに左手に見えてる岬のあたりが、「鬼ヶ城」となります!!伊勢路の人気の景勝地ですね♪
『鬼ヶ城』の散策についてはこちら↓
国道を進むと防波堤に登る階段があります。
堤防沿いを進む!
ちなみに先程の階段を登らずに、国道を進むと大泊駅はすぐです。
でも次回のために切りが良いところまでちょっとだけ遠回りします。
大泊海水浴場!!こっちも海水浴客でいっぱいだー!いいなー泳ぎたいなー。
堤防を進んで、
〈12:08〉大泊橋の前で国道に突き当たります!
今回はここで熊野古道は終了!!右手に進んで大泊駅へ!!
大泊駅から少し進むと交差点があります。
この交差点が観音道との分岐となります!
ここを起点に大吹峠を周回するプランも楽しそうです♪
国道をさらに進んで、ここを左へ登っていくと、
〈12:14〉ゴールの大泊駅に到着です!!
いよいよ次回は、伊勢路の海岸沿いラストの峠「松本峠」へ!!!!!!
長かった伊勢路もついに終盤戦に突入です!!!!!!!!!!!!
次回、パート⑯「松本峠」大泊駅~熊野市駅・有井駅 編アップしました!
まとめ
ということで伊勢路⑮「波田須の道・大吹峠」新鹿駅~大泊駅 編でした!!
今回の区間は、やや舗装路を歩く場面も多かったですが、短い石畳道や集落内の小道、”徐福伝説”の史跡を巡ったりと非常に変化に富んだ楽しいコースでした!!
「波田須の道」は、集落や海の風景も美しく、鎌倉時代の珍しい石畳道もあり見どころが豊富!
「大吹峠」は、伊勢路らしい古道の美しさに癒やされるコースでした!
全体的にアップダウンも緩やかで、距離も短め。熊野古道初心者の方にもオススメしたいコースです!!波田須駅で「波田須の道」「大吹峠」を分割できるなど親しみやすい区間だと思います!
では次回の伊勢路旅に続きます!!