聖地”熊野”へ続く参詣道「熊野古道」!
京都・大阪・和歌山へと繋がる「紀伊路」は上皇・貴族が熊野詣した”熊野御幸道”と呼ばれる公式の参詣道です!
熊野古道の中では伊勢路と並んで最も古い歴史を持つコース!
今回はそんな紀伊路の概要や見どころ、おすすめコースをまとめました!
はじめての『熊野古道』ハイキングにオススメのコース↓
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熊野古道「紀伊路」とは?
「紀伊路」は熊野三山への参詣道「熊野古道」の1つ!
京から上皇・貴族が聖地”熊野”へお詣りする「熊野御幸」では、この紀伊路が公式ルートとして利用されてきました。
ちなみに現代で”熊野古道”といえば「中辺路」を思い浮かべることが多いですが、この”中辺路”という名前で呼ばれるようになったのは近世以降からのこと。
古くは田辺の東から熊野三山へ繋がるコースも「紀伊路」と呼ばれていました!
そのことから熊野古道の中では最も歴史が古く、”伊勢路”と並んで『梁塵秘抄』に歌われていたほどの歴史があります。※『梁塵秘抄』は平安時代末期に編まれた歌謡集
「蟻の熊野詣」と言われるようになった7世紀以降、熊野三山の公式ルートとして多くの参拝者が利用してきましたが、紀伊山地の多くの峠・河川を越えなければならない非常に困難な道でした。
険しい道であったにも関わらず多くの参詣者が利用したのは、”九十九王子”への参拝が行われる「信仰の道」であり、困難な道程を越えていくこと自体に信仰上の意義が見いだされていたためだったそうです。
紀伊路の概要
画像出典:Wikipedia
紀伊路は京の都・城南宮から淀川を船で下ることから始まります。
摂津国の淀川河口にあった港湾”渡辺津”で上陸。そこから南下し、和泉国を経て、雄ノ山峠を越え紀伊国に入ります。
峠を越え、川を渡り、九十九王子に参拝しながら海岸に沿って進み、聖地熊野の玄関口「口熊野」と呼ばれた田辺で「中辺路」と繋がります!
摂津や和泉では「熊野街道」とも呼ばれたように、紀伊路は幹線道路として道沿いの住人たちの”生活道路”でもありました!
大阪・和歌山を繋ぐ重要な道であったため、現代では発展とともに古道本来の姿は失われつつあり、ほとんどが道路や集落内の舗装路となりますが、その中にも九十九王子や熊野にまつわる史跡が随所に見られ、「古道の歴史」を感じる非常に魅力的なルートです!!
紀伊路の見どころ!
現代の紀伊路はその大部分が舗装された道を進むコースとなります!
ですが見どころは非常に多く、主要街道としての長い歴史と多くの文化遺産や伝説に彩られた古道です!
(左上:道成寺 左下:西御坊駅 右上:高山寺 右下:塩屋王子)
コース内に並ぶ九十九王子を辿りながら、有名社寺に訪れる歴史街道!
歌舞伎や能の演目として知られる「道成寺」や弘法大師創建の博物学者”南方熊楠”が眠る「高山寺」など有名なお寺への参拝も紀伊路旅の見どころです♪
行き帰りのアクセスで利用するJR「紀勢本線」は車窓から海を眺めることができ、御坊市内の紀州鉄道はわずか2.7kmの全国屈指のミニ鉄道!「西御坊駅」のレトロな雰囲気の駅舎は必見です!
(右上:有田川 右下:有田みかん畑 右上:湯浅広港 右下:藤白神社の楠)
また景色の変化も素晴らしく、紀ノ川や有田川などの河川を渡ったり、海明かりがする海岸線や港町を歩いたり、ミカン・梅の産地で畑の中を横切ったりと風景の移り変わりがとっても楽しいコースです♪
難所とされる峠もいくつかありますが、フラットでのんびり進める区間が多い!峠からの展望も美しく、魅力的な古道歩きが楽しめます!!
世界遺産の登録範囲外だけど!!
五体王子「藤代王子・藤白神社」
熊野三山・熊野古道は、『紀伊山地の霊場と参詣道』の構成資産の一部として世界遺産に登録されています!
ですが、『紀伊路』はその登録範囲に含まれていません!!
というのも、紀伊路は幹線道路として利用され、時代ととも発展し古道本来の姿が失われつつあるからだと思います。
でもブログ主が実際に歩いてみた感想では、紀伊路は他のコースに負けないぐらい見どころが多いコースだと感じました!
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は2016年に登録範囲の変更・拡大が行われたので、個人的な予想ですが、いずれ紀伊路もコースの一部が世界遺産に追加登録される可能性が高いと思います!!
特に、五体王子「藤代王子(藤白神社)」や「藤白坂」などは2017年に日本遺産『絶景の宝庫 和歌の浦』の構成資産として認定されています!これを足がかりに世界遺産を目指すことを表明されているので、追加登録される日も近いのではないかと予想しています!
勝手に予想!世界遺産に追加されそうなコース・史跡!
- 『藤白坂』・藤白神社・藤代王子・藤白塔下王子
- 『鹿ヶ瀬峠』・石畳道
- 美人王子「塩屋王子」・五体王子「切目王子」
- 浜の王子「岩代王子・千里王子」
計画の参考になるコースマップ!
熊野古道に挑戦されるなら、わかやま観光(和歌山観光連盟)さんのHPで配布されている「街道マップ」がおすすめです!
コースの見どころや史跡の解説、コースタイムから交通情報まで、古道歩きに必要な情報が満載のコースマップです!
ブログ主も熊野古道や高野山のコースに挑戦する際は、印刷して書き込んだりして活用させていただいています♪
HPよりPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ熊野古道旅のお供に!
関連リンク:わかやま観光(和歌山観光連盟)
ホーム>お立ち寄り情報>高野巡り・熊野古道 街道マップ
全9回での踏破がおすすめ!
紀伊路は京都から淀川を下り、大阪から始まりますが、現代のトレッキングとしての紀伊路は大阪・和歌山の境「山中渓・雄ノ山峠」からスタートするのが一般的です!!
山中渓からスタートしても、田辺までの道のりは120km以上あるロングコースとなります!
ということで分割しての踏破がオススメです!紀伊路はJR(和歌山線・紀勢本線)に沿うコースとなりますので、分割しての計画でもアクセスが非常に良いです!
分割する場合は”わかやま観光”の『街道マップ』で紹介されている全9回のプランがオススメです!!
【おすすめ分割プラン!全9回】
- 山中渓駅~布施屋駅
- 布施屋駅~海南駅
- 『藤白坂』:海南駅~紀伊宮原駅
- 『糸我峠』:紀伊宮原駅~湯浅駅
- 『鹿ヶ瀬峠』:湯浅駅~紀伊内原駅
- 紀伊内原駅~西御坊駅
- 西御坊駅~切目駅
- 切目駅~南部駅
- 南部駅~紀伊田辺駅
起点となる紀州街道の宿場「山中宿」
JR山中渓駅からスタートし、雄ノ山峠を越えて和歌山県に入ります!紀州街道の「山中宿」は江戸時代には20軒以上も旅籠が軒を連ねた宿場町。
宿場内に大阪最南端の王子社「馬目王子」があります。
終点は田辺。熊野の聖域の入口とされ”口熊野”と呼ばれてきました。
紀伊田辺駅の駅前商店街の中に、中辺路・大辺路との分岐となる”道分け石”があります!
田辺にある闘鶏神社(とうけいじんじゃ)は”新熊野権現”と呼ばれ熊野三山の別宮的な存在として熊野信仰の一翼を担ってきた神社です!
武蔵坊弁慶にもゆかりがある名高い神社!社殿の配置は大洪水で流出する前の熊野本宮大社とよく似ているんだそう!
田辺の浜辺は、巡礼者が海水で心身ともに清める”潮垢離”が行われていた重要な地。田辺で現在の中辺路と合流して、東へ山中を進み熊野三山の聖地に入ります!
紀伊路のおすすめコース4選!
紀伊路の中から特にオススメの4コースをご紹介します!
- 『藤白坂』海南駅~紀伊宮原駅
- 『糸我峠』紀伊宮原駅~湯浅駅
- 『鹿ヶ瀬峠』湯浅駅~紀伊宮原駅
- 切目王子・切目駅~南部駅
コースの難易度・体力度は★3段階で評価し、コースタイムや距離などの情報をまとめました!
難易度・体力度はブログ主の感想です!コースの状態を保証するものではありません!
「藤白坂」海南駅~紀伊宮原駅|熊野古道屈指の名コース
「藤白坂」は紀伊路が雄ノ山峠を越えて”紀州”に入って以降、最初の難所とされる峠越えのコースです!
舗装路区間の多い紀伊路の中で、熊野古道の風情を特に色濃く残すコースとなります!
九十九王子の中でも特に格式が高い五体王子「藤代王子」から始まり、海を見渡す峠へと登ります!
このコースは紀伊路内でも、熊野古道全体でも”名コース”に数えられる区間!個人的にも紀伊路の中で特に思い出に残っているコースです♪
厳しい峠越えのコースではありますが、豊かな自然や展望、有間皇子にまつわる万葉歌碑など、古道感あふれる見どころの多いコースだと思います!!
〈コース概要〉
- 起点:海南駅 終点:紀伊宮原駅
- 距離:14.4km
- コースタイム:7時間
- 難易度★★/体力度★★★
海南駅から古道に合流すると”熊野一の鳥居跡”。熊野の入口という意味の鳥居があった場所となり、紀伊路のコースもここから本格的な古道旅が始まります!
神社でありながら熊野三山の本地仏を祀る藤白神社を過ぎると「藤白坂」に差し掛かります。峠からは海を見渡す絶景が広がります!
峠を下り、集落内にある九十九王子を辿りながら進むとコース内2つ目の峠「拝ノ峠」。
拝ノ峠からは有田みかんの畑の中を下っていき有田川へ!紀伊宮原駅へゴール!
紀伊宮原駅までは2つも峠を越えるロングコースとなり、ある程度の体力は必要なコースとなります!
コース内の見どころは藤白神社周辺の序盤に集中しているので、熊野古道の名所巡りを目的とされる方や体力に自信がない方は「藤白坂」の往復がオススメです!!
『藤白坂』往復プラン!
- 距離:8.0km
- コースタイム:3時間
- 難易度★/体力度★
熊野九十九王子の中でも格式が高い五体王子の1社「藤代王子(藤白神社)」
全国的にも珍しい仏像(熊野三山の本地仏)が祀られている神社です!また全国の”鈴木”姓発祥の地としても知られています!
境内の楠木神社は村の産土神であり、子供の名前に『熊』『楠』『藤』の字を授かる風習があります。
博物学者の「南方熊楠」さんもこの社から熊・楠の二文字を授けてもらったんだそう!!
藤白神社を過ぎると、この区間のハイライト「藤白坂」が始まります!
全体的に舗装路が多い紀伊路ですが、この区間は熊野古道らしい山歩き♪自然豊かな地道を登りましょう!
坂を登りきり藤白塔下王子へ辿り着くと、「御所の芝」から眺める絶景が広がります!
「熊野路第一の美景なり」と『紀伊国名所図会』にも記された御所の芝からの眺め!広大な海と和歌の浦、淡路島、四国などの島影が眼下に見渡せます!
体力に余裕がある方はそのまま拝ノ峠も越えて紀伊宮原駅まで進みましょう!
みかん山のアップダウンは厳しいですが、見ごたえのある景色や古道の歴史を感じる史跡などの見どころがたくさんあります♪
「糸我峠」紀伊宮原駅~湯浅駅|醤油発祥の地を散策!
このコースはミカンの名産地”有田”から「糸我峠」を越えて醤油発祥の地”湯浅”へ続く区間となります!
この区間の特徴は有田川流域に広がるミカン畑や糸我峠から見渡す絶景など、風景・展望が楽しめるゆったりしたコース!
有吉佐和子の小説「有田川」の舞台となり万葉集にも読まれた「糸我の里」を散策しながら、江戸時代の美しい街並みが保存されている「湯浅」を目指す見どころの多い区間となります!
〈コース概要〉
- 起点:紀伊宮原駅 終点:湯浅駅
- 距離:7.0km
- コースタイム:3時間30分
- 難易度★/体力度★
紀伊宮原駅を出発して有田川を渡ります。中将姫ゆかりの「得生寺」や日本最古の稲荷とされる「糸我稲荷神社」などを巡りながら糸我峠へ登ります!
峠を越えると熊野古道の宿場としても賑わった、醤油発祥の地”湯浅”へ!
この区間は比較的アップダウンも緩やかなショートコースとなり、のんびりとした古道歩きが楽しめます!
湯浅駅に到着後は江戸時代の街並みが保存されている「伝建地区」を散策しましょう!
紀伊宮原駅を出発し有田川を渡ると糸我峠への登りが始まります!峠とは言っても高低差はあまり大きくなく、ゆったりとした峠越えとなります。
みかん畑の中を散策してのんびり登っていきましょう!
糸我峠からは南側の展望が開けます!湯浅の港や紀伊路の難所”鹿ヶ瀬峠”などの山並みが見渡せます!
湯浅駅に到着後は、伝建地区(伝統的建造物群保存地区)を散策しましょう!
湯浅は日本の”醤油醸造”発祥の地!!江戸時代の面影が残る街並みが保存されています!この区間はコースが短めとなりますので、併せて散策するプランがオススメです!
醤油蔵の美しい街並み!資料館には当時の醸造用具などが展示されています。また”甚風呂”という公衆浴場などの見学もオススメです!
「鹿ヶ瀬峠」湯浅駅~紀伊内原駅|熊野古道最長の石畳道
この区間は紀伊路最大の難所「鹿ヶ瀬峠」を越えるコースとなります!
歌人「藤原定家」が『崔嵬の険阻(さいかいのけんそ)』と嘆いたほどの難所とされた鹿ヶ瀬峠。
区間としても距離が長めでアップダウンもあるやや健脚向きのコースとなります!
ですが峠からの下りでは熊野古道に現存する最長の「石畳道」が残っており、紀伊路内では特に熊野古道らしさを体感できるコースだと思います♪
〈コース概要〉
- 起点:湯浅駅 終点:紀伊内原駅
- 距離:16.9km
- コースタイム:7時間
- 難易度★★/体力度★★★
湯浅駅を出発し、九十九王子を辿りながら旅籠通りであった”井関”へ向かいます。
集落を抜けると鹿ヶ瀬峠への厳しい登り!大峠から山中を進み小峠を越えると、そこから美しい石畳が残る「石畳道」を下ります。
下ると黒竹の産地として知られる日高町原谷。麓を散策しながら進んで紀伊内原駅にゴール!
この区間は距離も長く、体力的には厳しめです!ですが鹿ヶ瀬のアップダウン以外は集落内を進む全体的に平坦なコースとなります!
鹿ヶ瀬峠の麓”井関”はかつて宿場として賑わった集落。現在も多くの旅籠跡が残されています!
集落を抜けると鹿ヶ瀬への登りが始まります!
紀伊路内で最大の難所とされる峠越えですが、現在はほとんどが舗装路となっており、最高点の大峠までも高低差は約350mほど。
コースのハイライトは小峠から始まる石畳道!
約503mにもなる石畳が続きます。これは熊野古道全体で最長の「石畳道」となります!やっぱり熊野古道といえば苔むした石畳ですよねー!
鹿ヶ瀬峠から下ると”黒竹の里”として知られる原谷地区。熊野古道の資料館やお土産屋さんなどでは黒竹の杖や民芸品などが販売されています。
切目駅~南部駅|千理の浜から梅の里へ!
この区間は切目王子から海を眺めながら梅の里”みなべ”を目指すコースとなります!
熊野古道には多くのコースがありますが、”海”を間近に感じながら古道旅を楽しむならこのコースが一番ではないかと思います!!
熊野古道に現存する王子社の中で、最も海に近い「浜の王子」と呼ばれる岩代王子・千里王子を辿りながら、梅の里へと進むとっても魅力的なコース!
峠の山道や真っ青な海、美しい梅林など、コースの変化がとにかく楽しい区間となります♪個人的には紀伊路の後半戦で一番オススメしたいコースです!!
〈コース概要〉
- 起点:切目駅(切目王子) 終点:南部駅
- 距離:12.1km
- コースタイム:5時間30分
- 難易度★/体力度★★
起点は切目駅。ですが前回の区間を歩いていない場合は五体王子の1社「切目王子」に立ち寄ってからスタートするのがオススメです!
切目駅から登り中山王子から榎木峠を下ると、目の前に海がパッと広がります!
海明かりがする海岸沿いを進むと、途中に岩代王子・千里王子と浜辺に2つの王子社!熊野古道内で最も海に近いこの2つの王子社は「浜の王子」と呼ばれています。
コースの後半は梅の産地として有名な南部の町!梅の香りを感じながら南部駅にゴール!
格式高い五体王子の1つ「切目王子」
切目王子神社の境内には和歌山県の天然記念物に指定されている”ホルトの木”が自生しています。
海の最も近くにある岩代王子。鳥居も海に向かって建っています!
岩代王子は「浜の王子」と呼ばれるほど海に近く、昔の熊野詣では千里王子までの区間は砂浜を歩いていたんだそう!
現在は途切れていて一度砂浜を離れますが、紀伊山地の山の中を歩くことが多い熊野古道の中では最も海を身近に感じれるコースだと思います♪
同じく浜辺にある千里王子。
千里王子がある”千里ヶ浜”は「伊勢物語」や「枕草子」でもその美しさが讃えられるほどの景勝地!きれいな砂浜にはアカウミガメが産卵にやってくるほど。
コースの終盤は南高梅の産地として知られる南部!日本一と称される梅林。
南部の街へ入るとコース内にも美しい梅林が広がります♪南高梅の梅干しはお土産にしもピッタリですね♪
まとめ
ということで今回は熊野古道「紀伊路」のオススメコース紹介でした!
熊野御幸の公式ルートとして”蟻の熊野詣”といわれるほど多くの参詣者で賑わった紀伊路。幹線道路として本来の古道の姿は失われつつありますが、それでも九十九王子や区間ごとの風景の変化など本当に魅力的なコースです!
残念ながら、今の所は世界遺産の登録範囲には含まれていませんが、参詣道としての歴史は長く重要なコースなので、今後の追加登録が期待されます!
歴代の上皇や貴族を始めとした旅人の多くが聖地”熊野”を目指した信仰の道!ぜひ一度歩いてみてはいかがでしょうか?
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