2020年4月中旬に、熊野古道中辺路の那智大社→本宮大社を1泊2日のプランで歩いてきました!
今回の記事は、熊野古道旅2日目前半の「小雲取越」の様子です!
1日目は、中辺路の中でも特に美しい石畳が残る「大門坂」を登って「熊野那智大社」へ参拝し、中辺路最大の難所とされる「大雲取越」を越えて赤木川沿いの小口集落で一泊しました!
大門坂・大雲取越はともに”熊野古道らしさ”を感じることができる石畳の多いコースで、特に大雲取越は体力面では厳しいながらも、見どころの多い歩きごたえのある山岳路で、非常に充実した1日目を過ごしました♪
2日目は、小口集落から熊野本宮大社へ続く「小雲取越」に挑戦です!
熊野古道旅1日目の記事はこちら↓
中辺路のおすすめコースについてまとめました↓
熊野古道中辺路「小雲取越」とは?
起点:小口 終点:熊野那智大社
距離:15.7km(請川バス停までは13km)
標準コースタイム:6時間20分(請川まで5時間40分)
その他:世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」構成資産の一部
熊野三山「那智大社」と「本宮大社」を結ぶ山岳路は、雲の中を進むかのような「雲取越」と呼ばれる中辺路の難所です。
特に前回の記事の「大雲取越」は中辺路最大の難所とされる厳しいアップダウンが続く山岳ルートでした!
今回の「小雲取越」は大雲取越に続く山越えの道です!ですが、大雲取越よりアップダウンが少なく、コース内の最高点”桜峠”を越えれば、ほぼ緩やかな尾根道となり快適なハイキングコースとなります♪
またコース内には、所々で展望ポイントがあり、距離は長めですが熊野周辺の山々の眺望を楽しみながら古道歩きができる魅力的なルートです!
スタート地点は赤木川沿いの”小口集落”。小口から集落内の小道を抜けて”小和瀬渡し場跡”へ向かいます。小和瀬橋を渡り民家の脇から山内に入り、登り口から桜峠まで急登が続きます。
最高点の桜峠を過ぎると緩やかな尾根道となり、旅人の憩いの場であった”茶屋跡”や熊野の山々が一望できる”百間ぐら”などの見どころを楽しみ、熊野川沿いの”請川”へ下ります。
小雲取越の終点は”請川”となっており、そこからバスor徒歩で”熊野本宮大社”へ!
「小雲取越」山行データ!
- 小口自然の家(6:11)→小和瀬渡し場跡(6:29)→桜峠(7:56)
- 石堂茶屋跡(8:33)→百間ぐら(9:02)→松畑茶屋跡(9:37)
- 請川(10:23)→熊野本宮大社(11:46)
天候:晴れ 時々 くもり
歩行距離:15.7km
活動時間:5時間35分
熊野古道「小雲取越」|小口→本宮大社
小口→小和瀬渡し場跡→桜峠
熊野古道旅2日目!小口自然の家でテントを張り一夜を過ごしました!
朝は4時30頃に起きて、朝ごはんを軽く済ませて撤収作業。日が昇るのを待って行動開始です!
〈6:11〉6時過ぎに行動開始!
小口自然の家は廃校となった中学校の校舎を利用して運営されている宿泊施設です!今回はキャンプ場を利用させていただきましたが、教室を客室として利用されているので熊野古道歩きのお宿として大人気の施設です!
シャワーや翌日のお弁当など、旅人にはうれしいサービスが充実しています♪海外からの利用者も多いそうですよ!
詳しくは別記事にてまとめています↓
まずは小雲取越の登山口「小和瀬渡し場跡」を目指しましょう!
校舎の前の小道を抜けて、
こちらの橋を渡って集落内へ進みます。
車止めが設置されていますが通行止めではなく、この橋は歩行者と2輪車のみ通行可能です。もともとは中学校への通学路として利用されていた橋だと思います。
橋を渡って集落に入り、突き当りを左へ。右へ行くと郵便局、集落を抜けると大雲取越の登山口です。
左へ曲がって公民館?集会所?の脇の小道から熊野古道へ入るのですが、
見逃してしまい、集落を抜けて”小口トンネル”まで来てしまいました^^;
一応、トンネルを抜けて道路に沿って進めば小和瀬橋まで行けますが、
トンネル手前に階段があったので登ってみると、
なんとか熊野古道に合流しました。赤い屋根の2階建ての建物が公民館。この細い道が正式ルートだったっぽいです。
合流できてホッとしましたε-(´∀`*)ホッ
小口トンネルの上部を通過するように登っていきます!
小口トンネルの真上あたりにお地蔵さんがあります。
トンネル上部を登り切ると、今度は下り。
下ったところから民家の軒先を抜けると、
赤木川沿いに熊野古道が続きます。
この橋が”小和瀬橋”です!!
〈6:29〉「小和瀬渡し場跡」に到着!
ここはかつて渡し船が運行し、熊野古道を歩く巡礼者は銭を払って対岸へ渡っていたそうです!現在は浅い赤木川ですが、以前は下流に堰があったため水深が深く歩いて渡るのは困難だったようです。
水量によって渡し賃も上下したんだとか。
現在は橋がかかり、トイレと東屋があります。ここから小雲取越の山内に入ると、しばらくトイレはありませんので、御用の方はここで済ませておきましょう!
東屋の横に「小雲取越」の石碑!!
この小和瀬橋にはバス停があります。今回は小口をスタート地点としていますが、JR新宮駅からバスで来る場合は、小口バス停の1つ手前の「小和瀬バス停」で降りて、ここからスタートすると時間短縮になります。
小和瀬から赤木川。今は穏やかな川だけど、渡し船があった時はどんな川だったのかな?
お!猛禽類!鷹かな~?トンビかな~?
小和瀬橋を渡って民家の脇の石段を登って山内に入ります。小雲取越スタート!
こういう民家のお庭を通るような道って熊野古道の醍醐味ですよね~(*´ω`*)
民家を抜けて山へ入るといきなりの急登!結構きつめ^^;
お!30の番号標識!大雲取越が29番までだったのでここからカウントをリスタート!
小雲取越は500m間隔で30~53番までが山内にあり、請川の登山口「下地橋バス停」に54番があります。
30番の少し先に大きな木とお地蔵さんがおられます。
このお地蔵さんは「尾切地蔵」といいます。
尾切地蔵は村が栄えるようにとの願いからこの地に立てられたそうです。
少し先にある分岐。
”琴平さん”ってなんだろう?人の名前?
小雲取越は全体的に歩きやすいハイキングコースとされていますが、登山口~桜峠まではなかなかキツイ急登が連続します!
2日目ということもあって、前日の疲れでなかなか足が進まない…(´・ω・`)
写真で見ると緩やかに見えるんだけど、ここもそこそこ傾斜があります。
お!いい天気だねー(*´∀`*)!大雲取越は展望ポイントが少なかったけど、小雲取越はちょこちょこ景色が望めるポイントがあったので、同じ”雲取越”ですがコースに違いがあって楽しい♪
どんどん登っていく!
大雲取越にも後半にぽつぽつと”歌碑”がありましたが、こっちはゴールまで一定の間隔で歌碑がならんでいます。
樹林帯に入り、一旦緩やかに下り、
道脇に石垣がみられるようになると、
桜茶屋跡に到着です!かつては茶屋の庭先に大きな桜の木があったから桜茶屋!
桜茶屋跡の説明板。
桜茶屋跡には休憩用の東屋が建てられていて、
その東屋からは南側の展望が開けます♪
あっちが昨日歩いた大雲取越の尾根だと思います♪
桜茶屋跡すぐ先に35番!
桜茶屋跡からも少しの間登りが続き、
36番を通過すると、
〈7:56〉桜峠に到着です!!
桜峠の標高は466m!小雲取越のコース内では最高点になります!
桜峠までは辛い登りが続きましたが、ここ以降はガイドブックなどでも”快適なハイキングコース”と紹介されていたので、コース内の難所はここまでですね♪
石堂茶屋跡→百間ぐら→松畑茶屋跡
では桜峠から進んでいきましょう!軽快な尾根道♪
緩やかに下っていく!手すりなども設置されていてかなり整備が行き届いたコースですね~。
ほぼほぼ平坦な道♪大雲取越がかなりアップダウンが激しかったから、ご褒美みたいに歩きやすいコースです!
〈8:33〉のんびり歩いていると石堂茶屋跡に到着しました!
石堂茶屋跡の説明板。
石堂茶屋跡の横にも東屋。ここ以降、屋根付きの休憩所はコース内にありません。
今回は早い時間帯に出発しているので昼食の時間はまだまだ先ですが、バスを利用して、もう少し遅めの時間にスタートする場合や雨の日などはこちらでランチタイムにするといいと思います!
40番突破!!
40番付近に小石が積み上げられた「賽の河原地蔵」が祀られています。
賽の河原地蔵は、オオカミに襲われた子供の霊を供養するための地蔵といわれ、また参詣途中に亡くなった巡礼者を供養するためともいわれています。
かわいそう…(´・ω・`)
賽の河原地蔵からしばらく急な登りとなります!小雲取越での急登はここでほぼ最後になります。
途中で林道と並走。
「皇太子殿下行啓の地」の石碑。
並走していた林道と交差して真っ直ぐ進む。
林道との交差点を150m行くとトイレがあるようでした。通過して登り途中に木々の隙間から見てみると、たぶん駐車場もあるっぽい。
賽の河原地蔵から続いた登りもここで終わり、
そこからしばらくは下り道になります。
山腹を横切る。このあたりは少し道が細い箇所もありました。
しばらくアップダウンの少ない山腹を進んでいると、
〈9:02〉小雲取越の絶景ポイント「百間ぐら」に到着です!!
小雲取越のハイライト!!
百間ぐらからの景色!少し曇り気味ですが、熊野周辺の山々が一望できます♪
”ぐら”というのは高い崖を意味する言葉。大台ケ原の”大蛇ぐら”とかと同じ意味だと思います。
天気が良い日もいいけれど、ガスなどが出てても雰囲気があって良さそう(*´∀`*)
北側に続く小雲取越の尾根。奥に見える山脈が”果無山脈”ですね!
写真中央やや左の白っぽくなっているところは”熊野川”だと思う!ゴールも近い♪
東側。真正面にみえる一際尖った山が”野竹法師”だと思う。
南東側にみえる山塊が”大塔山系”の山々。大塔山(1121m)は紀南地方の最高峰です!
ザックをおろして、しばらく景色を眺めながらのんびり休憩♪行動食でエネルギー補給!
百間ぐらからは平坦~やや下りのコースでかなり足早に進めるコースが続きます!ブログ主はここからほぼノンストップで請川まで下りました!
木橋。ちょっとした変化が楽しい♪
番号標識も45番を通過!のこり9コ!
百間ぐらから少し下った所で、右側からコースが合流してきます。
ここが万才峠へと続く”伊勢路(本宮道)”との分岐点になります!
伊勢路はまだ歩いたこと無いんですよね~。いつか伊勢神宮~本宮大社までテントを担いで歩いてみたいです!
追記:2022年11月、伊勢路『本宮道』を歩いてきました!!
『本宮道』パート①
熊野古道『伊勢路』のおすすめコースはこちら↓
まっすぐ続く木立の古道。
〈9:37〉コース内最後の茶屋”松畑茶屋跡”に到着!
松畑茶屋跡の説明板。
松畑茶屋跡には屋根付きの休憩所はありませんでしたが、道の両側にベンチが設置されていました。請川に下るまでの最後の休憩ポイントです!
請川→熊野本宮大社
50番通過!いよいよ請川までのラストスパート!
この時間帯になると少し晴れ間も広がり始め、気温がかなり上がってきました!麓の降りた時点で20℃を超えるような日差しの強い1日でした。
道の脇にかわいい椅子(*´∀`*)
ついに熊野川がすぐ目の前に見えてきました!請川までもうすぐ!
ぐんぐん下っていくと、
集落内に出てきました!庭先を抜けて、
集落内の小道を進むと、
国道168号線と熊野川。
〈10:23〉ということで請川に下山!!
請川の「小雲取越」登山口。登山口横はそのまま「下地橋バス停」となっています。
バス停に最後の番号標識!やったーヽ(^o^)丿
バス停から(本宮から反対方面に)50mぐらいのところに公衆トイレがあります。我慢してたから駆け込む!
あとは本宮大社まで車道を歩くだけなので、トイレの横の自動販売機でジュースを買って、10分ほど休憩していました。
では本宮大社を目指しましょう!本宮大社までは徒歩で約40分ぐらいかかります。たぶん距離は3~4kmぐらい。
熊野名物の”うすかわ饅頭”のお店があったので食べたかったのだけれど、お休みされていました(´・ω・`)
請川橋にある「請川バス停」。
わかやま観光協会の街道マップや熊野古道のガイドブックではこちらのバス停をゴール地点にされている場合が多いです。
本宮大社までけっこう距離があるからここからバスに乗るのもオススメです!
請川橋から小雲取越の尾根。麓に降りてから眺めると達成感がありますよね♪
ん?道の脇に”熊野古道”の道標。これは本宮方面にいけるのかな?
地形図を見てみると川湯温泉方面に繋がっているっぽい。一応、ここはスルーして車道を進みました。
ここを左のトンネルへ進むと”川湯温泉”です!本宮へ行く前に温泉に入るのもいいですね♪
川湯温泉から本宮へもバスが運行されています。
この橋は「大峯奥駈道」の登山口へ続く橋です。いつか大峯奥駈道を縦走して本宮まで歩いてみたいけど、他の熊野古道に比べてレベルが違いすぎていてなかなか挑戦できる気がしない…。
さっきの熊野古道の道標はトンネルの先に繋がっているみたいですね。道路をそのまま歩いてきましたが、ここは通ってよかったみたい。
ということで本宮内の通りまできました!先に大斎原へお参りしてきます。
大斎原裏手にある熊野川の河原。熊野古道を歩いた際はいつもここで休憩しています。今回は30分ほどのんびり休憩♪
ようやく登山靴を脱ぐことができました(*´∀`*)
山を歩いた後、登山靴を脱ぐ瞬間がたまらなく好き♪アウトドア用のサンダルに履き替えました。
大斎原の大鳥居!日本一の大きさです!
ついにゴールの熊野本宮大社へ!
〈11:46〉無事ゴール!!本宮大社の本殿へお参りできましたヽ(^o^)丿
この後、本宮から新宮→那智へ移動するのですが、実は11:50分にバスがあったようです…。ブログ主は本宮への到着時刻が不明だったこともあり、バスの時刻を調べていませんでした。
請川に到着した時は12時台のバスに乗れればいいなーと思っていたのですが、12時台に新宮行きのバスはなく、13:20までバス待ちになりました^^;
熊野本宮大社にあるヤタガラスの”黒ポスト”!
「20th」と書かれていますが、今年は大斎原の大鳥居が建立されて20周年の節目になります!!
本宮大社の参道の階段を降り、世界遺産センターのバスのりばで時刻を確認してきました。1時間30分の足止めですorz
バス待ちの時間を利用して昼食タイム♪めはり寿司と山菜そばのセット(*´∀`*)
やっぱりめはり寿司やな~。
昼食後もまだまだ時間があったので、世界遺産センターを見学。山伏さんの衣装。
サッカーボールには歴代代表選手のサインがいっぱい(゚∀゚)!
アジアカップ優勝トロフィーのレプリカとか、ユニホームも展示されていました!
世界遺産センターの裏の河原でザックにもたれかかってのんびり。
ブログ主は熊野古道を歩くようになってから、熊野周辺の雰囲気がとにかく好きで、自宅に帰ってからも熊野三山や熊野川の情景を思い浮かべてはニヤニヤしてしまうほど、熊野の魅力にゾッコンです♡
13:20分。到着したバスに乗り込む。バスの窓から本宮を見ると、テレビ局などのカメラがズラーッと並んでいました。
実はこの日は春の例大祭「本殿祭」の当日だったみたいです!ラッキー♪
バスの車窓から行列。バスは1本逃しちゃったけど結果オーライですね♪
本宮から那智へ戻る公共交通機関のルートは何通りかありますが、乗り換えの関係で本宮→新宮高校前(乗りかけ)→那智駅のバスルートで戻りました!
- バス:本宮→新宮高校前(乗り換え)→那智バス停
- バス・電車:本宮→新宮駅(JR紀勢本線)→那智駅
本宮からバスで速玉大社へ行く場合は、「権現前」バス停から徒歩がオススメ!
〈15:03〉ということで那智駅に戻ってきました!
ここから補陀洛山寺→大門坂入口へとまだまだ歩くのですが、そちらの様子は別記事にてご紹介します!
まとめ・2日目後半に続く
ということで熊野古道中辺路「那智→本宮」の2日目前半「小雲取越」の様子でした!
那智から本宮へと続く難所「雲取越」
1日目に歩いた「大雲取越」はアップダウンが多い峠道でしたが、この記事でご紹介した「小雲取越」は桜峠まで辛い登りがあるものの、それ以降は非常に歩きやすい穏やかな道が続き、それでいて展望ポイントあり、茶屋跡や歌碑が並ぶ気持ちのいいコースでした!
登山口の小口・小和瀬渡し場跡まではバスも運行しているので日帰りコースとしてもオススメ!距離は長めなので、観光として歩くには厳しいですが、「大門坂」や「発心門王子コース」などの人気コースを歩いたあと、熊野古道の本格的なコースに挑戦してみたいという方には特にオススメです!
今回の熊野古道旅は2日目後半の「那智駅(補陀洛山寺)→大門坂入口」まで、もうすこし続くのでよろしければ引き続き目を通していただければと思います!
では2日目後半「那智駅→大門坂入口」へ続く!!
中辺路のおすすめコースについてまとめました↓