熊野古道「小辺路」3泊4日テント泊!①高野山→大股→伯母子峠

登山・トレッキング

2019年4月の中旬に熊野古道「小辺路」を3泊4日(+現地1泊)で歩いてきました!

熊野古道(熊野参詣道)は熊野本宮へと続く参詣道。古代から信仰を集め、本宮、新宮、那智の熊野三山を中心にたくさんの参詣道が整備され、多くの人々が熊野を目指し参詣したと伝えられています。

2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産の一部として世界遺産に登録され、日本国内だけでなく海外からも注目される古道となりました!実際に道中や現地でお会いした方々の約7割は海外からのお客さんでした!

ブログ主は以前から、”テントを担いで熊野古道を歩いてみたい!”とずっと思いを馳せていました!

熊野古道には最も多くの参詣者が歩いたとされる中辺路、海岸沿いを進む”大辺路”など様々なルートがあって迷いましたが、今回は高野山から熊野本宮へ向かう小辺路に挑戦です

見所が多く、1つの記事では到底まとめきれないので、登山道の状態や、テント泊で重要な水場やテント適地などの情報も紹介しつつ、何記事かに分割してご紹介していきます!

今回の3泊4日テント泊装備一覧と参考になった登山地図はこちらの記事で紹介しています!

小辺路のくわしい情報は別記事にてまとめました

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熊野古道「小辺路」とは?

熊野古道「小辺路」とは、高野山と熊野本宮を最短距離で結ぶ約70kmの街道です!※「高野街道」ともいいます。

弘法大師空海が開山した高野山の結界道(女人道)の終点である、ろくろ峠を起点として、山深い紀伊山地のど真ん中を進む険しい山岳ルートです!

最短ルートといっても、道中には伯母子峠三浦峠果無峠と高低差の激しい1000m級の峠越えがあり、熊野古道の中で(大峯奥駈道を除けば)最も厳しいルートとも言われています!

でも、高野山を初め、200名山「伯母子岳」や”天空の郷”として有名な果無集落など、見所がとっても多い楽しい山旅でした♪

熊野古道「小辺路」基本データ!

起点:高野山 終点:熊野本宮

総歩行距離:67km

総コースタイム:21時間30分 ※休憩、食事時間含まず

その他:世界遺産(紀伊山地の霊場と参詣道)

伯母子岳(200名山・関西百名山)

果無集落(にほんの里100選)

「高野参詣道・高野七口」についてまとめました↓

小辺路1日目のルート!

1日目は高野山→水ヶ峰→大股→伯母子峠まで!

1日目は起点の高野山を出発し、水ヶ峰、大股を経て伯母子峠まで進みます!4日間を通しても、この初日が一番長い距離を歩きました!

テント泊の適地としては、伯母子岳へ登る途中の「萱小屋跡」と伯母子峠がオススメ!どちらも避難小屋があり、萱小屋跡には若干の水の蓄えが、伯母子峠にはトイレがあります!

テント泊山行と銘打っていて恐縮ですが、1日目は伯母子岳周辺では厳しい強風だったので、テント泊は諦め伯母子峠の避難小屋に宿泊しました!

小辺路1日目のプラン!

  1. 高野山(5:51)→ろくろ峠(6:21)→薄峠(7:01)→大滝集落(8:10)
  2. 大滝集落→水ヶ峰(9:15)→大股バス停(11:22)
  3. 大股バス停→萱小屋跡(12:42)→桧峠(13:44)→伯母子峠(14:25)避難小屋泊

天候:ガス→晴れ→強風(伯母子峠)

距離:23.5km

コースタイム:8時間34分 ※休憩、食事時間含む

最高点:伯母子峠 1230m

伯母子峠から10分ほどの距離に本来は水場がありますが、伯母子峠~上西家跡までの区間で崖崩れがあり山道が崩落。現在は通行止めとなっていて水場は利用できません!※2019年4月現在

水場は利用できませんが、山頂付近から迂回路が整備されています。迂回路の様子は2日目の記事でご紹介します。

小辺路の参考になる登山地図!

今回の山行では、ブログ主は3種類の登山地図を持って小辺路を歩きました!

  1. 昭文社:山と高原地図51「高野山・熊野古道 伯母子岳」
  2. スマホアプリ:YAMAP ヤマップ
  3. 十津川村:世界遺産熊野参詣道 小辺路 登山マップ

登山地図は装備編でも紹介する予定なので、いずれまとめて紹介します!

十津川村HPで配布されている登山マップは、コースタイムや距離だけでなく、トイレや水場、自動販売機などの情報も満載で、旅のはじめから終わりまで本当にお世話になりました!

小辺路を歩かれるなら、ぜひ手に入れてご参考に!PDF形式でダウンロードできます!

十津川村HP:世界遺産熊野参詣道 小辺路 登山マップ

熊野古道「小辺路」1日目!

3泊4日の山旅スタート!高野山→薄峠→水ヶ峰

〈5:51〉高野山の大門前から今回の山旅スタート!弟に無理言って、早朝にここまで送ってもらいました(;´∀`)

この日は昼前ぐらいから晴れの予報で、前日に紀伊山地では雨が降った影響もあり深いガスに包まれていました。高野山の荘厳な空気感といい感じの霧の雰囲気がマッチしていました♪

聖地高野山の中心地「壇上伽藍」。真正面の赤い塔は根本大塔。

3月に九度山町から「町石道」で高野山まで歩いた記事でも紹介しているので、高野山散策の様子はそちらの記事をご覧ください!

高野山真言宗の総本山「金剛峰寺」。旅の安全を祈願してお参りしました♪

金剛峰寺の境内を出て、しばらく行くと「千手院橋」の交差点があります!小辺路をスタート地点へはこの交差点が目印になります!

交差点にはバス停もあるので、高野山ケーブル駅から南海りんかんバスの場合はこちらで下車すると小辺路の入口が近いです!

千手院橋の交差点すぐのところから金剛三昧院方面へ進みます!

角のお店には小辺路入口の看板が(゚∀゚) いよいよ4日間の山旅がはじまる♪

まっすぐ進めば金剛三昧院ですが、小辺路はここを右へ進みます!

小辺路の標識!道案内もバッチリです♪

小辺路は全体を通して、分岐ごとにしっかりとした道標が設置されているので、道はとってもわかりやすかったです!

金剛三昧院の分岐からはしばらく林道を登っていきます!

〈6:21〉林道を登りきると、ろくろ峠に到着!ここは高野参詣道「女人道」の終点で、高野山と熊野本宮を結ぶ小辺路の起点でもあります!

道脇でテント泊されている方が居られました!本宮から歩いてきたのかな?高野山へは小辺路だけでなく、数多くの参詣道があります。

ガスに包まれると雰囲気あるな~。

車が落ちてるΣ(・∀・;) 事故…?ナンバーがないし、不法投棄かも…。

ガスが出てるうちは景色は期待できないな~。予報では昼前から晴れるみたいなので、景色はもうすこしお預け。

ろくろ峠から、林道を黙々としばらく進むと道が分岐。

〈7:01〉この分岐が薄峠です!ここに到着するまで、薄峠を”うすとうげ”だと思っていたブログ主。

正解は”すすきとうげ”と読むみたいです!漢字の読み方難しい…特に地名は(;´∀`)

薄峠からはなだらかな下りが続きます!

下っている最中、ガスもなくなり始め、雲の隙間から青空も見え始めました♪もう少し時間が経てば晴れそうですね(゚∀゚)

途中から下りも少し急になり、階段をぐんぐん下っていきます!

途中にお地蔵さん。後ろに張られているロープは私有地立ち入り禁止のロープ。このあたりではマツタケが採れるようで、無断で採ると罰金!と看板に書かれていました!

少し開けた場所まで下りました。なんだろうこの石垣は…。このあたりに集落があったのかな?

薄峠から下りきったところには赤い鉄橋があります!

この橋、下が透けているので、高所恐怖症だとけっこう怖い((((;゚Д゚))))

赤い鉄橋を渡ると、再び舗装路あるきになります!けっこう急な登り坂でした^^;

薄峠方面を振り返って一枚。すっかりいいお天気になってきましたね♪

林道を進むと集落に入り、こちらを左へ。

〈8:10〉ここが、大滝集落ですね!高野山を出発してからおそよ2時間の道のりでした~。

民家のお庭?にはすごくきれいなトイレがありました。山の中ではなく集落内のトイレなので、山中とは違って当たり前かもしれないけれど、驚くほど綺麗なトイレでかなり印象に残っています!きっと集落の方々が小まめにお掃除して下さっているのでしょうね。ありがたや~(*´∀`*)

山中にあるトイレでもそれほど気にせず利用できるブログ主ですが、女性だとかなり嬉しいトイレだと思います!

トイレの先には休憩小屋。少しお腹が空いてきたので、ちょうどよかった♪朝ごはんにしよっと。

朝、コンビニで買ってきたパンとカフェオレ。

重~いザックを降ろして、ゆっくり朝ごはん♪ザック降ろした瞬間の浮遊感がすごい!笑

天気が良くなってきたので、しばらく休憩していると気温も上がり始めました。4日間いいお天気だといいんだけどな~。

朝食を済ませて、再びザックを背負い行動再開!民家の軒先の脇道から山道へ進みます!

なだらかに登っていくと、木の橋があります。

こちらにはそれほど水量は多くないですが、水場がありました!

小辺路全体を通してですが、割と水場は豊富な様子でした!マップにも記載されていない水場もあるので、水の管理は楽ちんでした♪

日差しが山道へ溢れてくるぐらいに天気は回復してきましたね♪

お!道路が見えてきた!

ここで高野龍神スカイラインと合流!ここからしばらくはスカイライン上の舗装路歩きになります!

高野龍神スカイラインは交通量がけっこう多いですが、小辺路歩行者ありの看板が所々に設置されてるので、スピード控えめに運転される方が多かったです!

とはいえ、カーブの多い道路で死角になって気づかれないこともあるかもなので、十分に注意しながら歩きましょう!

高野龍神スカイラインはとっても景色が良くて、普段なら辛い舗装路歩きも気分良く歩くことができました♪

右側のピークに見えるのが「野迫川村総合案内所」と「鶴姫公園」。小辺路から外れるので立ち寄りませんでしたが、景色が良くて、トイレや自動販売機もあり休憩には良さそうですね!

野迫川村の分岐はそのまま真っ直ぐ進みます!

長い舗装路歩きが終わり、水ヶ峰入口に到着!ここから水ヶ峰越えが始まります!

水ヶ峰→林道タイノ原線→大股バス停

〈9:02〉水ヶ峰越えスタート!

樹林帯をのんびり登っていきます!

〈9:15〉道がなだらかになると、水ヶ峰集落跡。

明治中期にはこの辺りに8軒も宿屋が軒を連ねるほど活気があった集落だそうです!現在でも旅籠、屋敷、神社などの石垣が所々にあり、当時の名残があります!

集落のお墓と石の道標。道標には水ヶ峯と刻まれているので、ここが山頂でいいのかな?

水ヶ峰集落跡から少し進んだところで林道と合流!それにしても舗装路歩きに多いね…。

高野山からここでようやく10km!でも大股までまだ6km以上あるのかよΣ(・∀・;)

まだまだ先は長いな~。

林道を歩いて大股を目指しましょう!

こちらの林道はとても景色の良い林道。奥の方に見えるのは大峯奥駈道の稜線ですね!

途中の東屋。こちらも休憩にオススメのポイントです!水場やトイレはありませんが、テント泊にも良さそうですね!

東屋からは西側の展望が良かったです♪

この林道は「タイノ原線」という林道。時たま作業をされている方の軽トラックが走っている程度でほとんど通る車もなく、景色の良い歩きやすい林道でした!

お!ようやく舗装路歩きも終わりか!と、山道に入ると、

すぐにまた林道へ。

再び林道脇から山道へ進み、

またまた林道と合流(;´∀`)

白い提灯がかわいいアセビに癒やされつつ、

再びここから山道へ入ります!ここは登っていく階段ではなく、下って行く左側の道が小辺路になります!

下っていくと、よーやく大股にたどり着けました!

〈11:22〉トイレと自動販売機、駐車場がある大股バス停。大股からは小辺路の最初の難所「伯母子峠越え」が始まります!

「伯母子峠越え」スタート!大股→萱小屋跡→桧峠→伯母子峠

伯母子峠越えスタート!!とその前に、バス停でしばらく休憩!靴を脱いで、自動販売機で買ったコーラをプシュ(*´∀`*)

あ~生き返る~♪結局30分以上も休憩してしまいました!

〈11:58〉ザックを背負い直して伯母子峠越えスタート!正面の橋を渡ります!

橋から見える川がとってもキレイで癒やされました(*´∀`*)

橋を渡ったところには水場があります!ここで水を確保しても良いのですが、しばらく登ったところにも水場があるのでそのまま進みました。

橋を渡ってすぐのところからこちらの小道を登っていきます。この坂がかなりの傾斜で登るのが本当に辛かった…(´・ω・`)

舗装路から山道に変わる手前の道脇に水場がありました!これより先、伯母子岳の山中には、(伯母子峠付近で登山道崩落のため)水場がないので、こちらで給水して登ります。ハイドレーションに500ml補充して、一晩過ごすために2.5Lを確保しました!

もう終わりかけだけど、少しだけ桜も咲いていました♪

水が増えた分だけ、ザックも重くなり坂がきつい!泣

伯母子峠までは標高差が約900mもあります!時間には余裕があるので、バテないようにゆっくり登ることにしました。

写真ではなだからに見えますが、実際はかなりの急登。気温もだいぶと高くなってきたので、結構汗もかき始めました。

しばらくつづら折りに急登を登っていくと、

〈12:42〉萱小屋跡に到着しました!跡となっていますが、現在はログハウスのような避難小屋が建てられています!

おしゃれな避難小屋ですねー!広さも十分でフラットな地面と丸太のベンチもあるので、テント泊適地です!

ベンチの真ん中には焚き火のあと。焚き火用に丸太も薪割り済み♪

避難小屋の内部は許容人数2~3名ほどとそれほど広くはありませんが、マットに寝袋、ランタンなども常備されていて、しかも焚き火台までありました!

小屋の脇には、おそらく湧き水ではないですが、水の蓄えがあります!そのまま飲めるかはわかりませんが、煮沸すれば全く問題ないお水だと思います!

実は当初の予定では、こちらが一泊目の宿泊地として計画していました!ですが、到着した時刻がまだ午後1時前とかなり時間に余裕があります。

ん~どうしようかな~(;^ω^)ここで1泊するか、伯母子峠まで登るか。

悩んでいると、伯母子岳から下山されて来られた男性が。その方としばらく談笑。その方の情報では伯母子岳の山頂付近ではかなり風が強く、気温も低めで肌寒かったそうです。

でも、伯母子峠は風は少しだけ弱め。避難小屋は前日の利用者がお掃除されていないみたいで、散らかり気味だったとのこと。設備面では萱小屋跡の方が良いみたいです!

散々悩みましたが、結局、伯母子峠まで登ることにしました!できるだけ距離を稼いでいたほうが後々楽だもんね!

萱小屋跡を出発してもしばらくは傾斜の急な登り坂。ひぃひぃ息が上がる中、なんとか登っていく!

〈13:44〉しばらくは急坂ですが、桧峠を越えると道もなだらかになります!

桧峠から少し先には夏虫山への分岐。今回はピークに寄り道せずにスルーしました!

その夏虫山のピークを避けるように巻道へ。このあたりは脆い地質なのか崖崩れが起こっている箇所がちらほらあります!

所々に片側が切れ落ちた箇所もあるので滑落注意!山側の斜面も脆いので落石にも注意して通過しましょう!

やたらに情報量が多い道標。こちらが伯母子岳の分岐です!伯母子岳へは明日の朝に登る予定なので、ブログ主はそのまま伯母子峠方面へ進みました!

〈14:25〉そして遂に1日目の目的地、伯母子峠に到着です!右側の建物がトイレになります。ですが冬季閉鎖中orz

内部はこんな感じ。8名ほど苦もなく泊まれるほどの広さがありました!でも窓がないので、小屋内は少し暗め。

小屋の付近にはそれなりにフラットなスペースがあるので、テント泊にも良さそうです!

この日は伯母子峠は結構風が強く、悩みましたがテント泊は諦めて、避難小屋に泊まることにしました!

伯母子峠からの展望!なかなかに景色の良い峠であります♪

冒頭でもご紹介しましたが、伯母子峠~上西家跡までの区間で崖崩れがあり通行止めとなっています!写真の下っていく方面ですね。立入禁止のテープが張られていました!

この崖崩れの影響で、伯母子峠近くの水場は利用できません

伯母子岳付近から迂回路が整備されているので、翌日は迂回路から上西家跡へ下っていきます。

小屋で荷解きして、晩ごはんの準備♪エスビットのポケットストーブと固形燃料でご飯を炊きます(*´∀`*)

この組み合わせは放置しておくだけなので、本当に便利ですよね!

おー!つやっつや(*´ω`*)炊きたてご飯のいい匂い♪

ということで晩ごはん♪中華丼と煮物の缶詰、右のマグカップにはじゃがりこマッシュ!とっても大満足の晩ごはんになりました!

その後、小屋で翌日以降の計画の確認。予定よりも進んで伯母子峠まで登れたので、もしかしたら2泊3日で踏破できるのでは?と思い、地図でテント場や水場を確認しながら、悩んでいました!

結局、眠るまでずっと考えていましたが、2泊目の宿泊地が決まらなかったので当初の予定通り、3泊4日プランで進むことにしました(;´∀`)

1日目まとめ!2日目に続きます!

ということで、熊野古道「小辺路」3泊4日の1日目、高野山~伯母子峠編でした!

比較的、舗装路歩きの多い区間でしたが、所々で展望の良い箇所がありそれほど苦にはなりませんでした!

予定では萱小屋跡までが1日目のプランでしたが、それよりも少し頑張って伯母子峠まで進めたので、翌日以降のプランに余裕ができました♪

ではでは、2日目の伯母子峠→伯母子岳→三浦口→三浦峠編に続きます(^_^)/~

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