2020年3月上旬、今回は三郎ヶ岳に登ってきました!
関西地方に三郎ヶ岳という名前の山は他にもありますが、今回登ったのは奈良県宇陀市の伊勢本街道沿いにそびえる山。
周辺の高見山地や曽爾高原周辺の室生火山群の山々などに比べるとややマイナーですが、山容は高城山・三郎ヶ岳と2つのピークが連なっており、どちらの山頂もよく開けていて非常に気持ちのいい景色が望める山です!
展望だけでなく三郎ヶ岳の山頂直下にある石仏群(磨崖仏)も大きな見どころの一つ!
山麓にある古刹「仏隆寺(佛隆寺)」は、樹齢900年以上にもなるサクラの古木があることでも知られ、春はサクラと菜の花、秋は紅葉や彼岸花と四季折々の花見の名所。
中国から弘法大師が渡来させた「大和茶伝承地」としても知られるお寺です。
三郎ヶ岳は山頂からの展望と麓の古刹、のどかな伊勢本街道沿いの集落と、とっても見どころの多い山!
今回はそんな三郎ヶ岳をのんびり周回してきました!
標高:879m(高城山810m)
場所:奈良県宇陀市
2万5000分の1図:大和大野・初瀬・高見山
三郎ヶ岳の登山コース
三郎ヶ岳への登山コースはあまり多くありません。基本的に仏隆寺を起点に登るコースの1本道になります。
仏隆寺から上俵の集落を抜けて、登山口の「小峠」から山へ入ります。小峠から樹林帯の道を進み高城山へ。高城山から尾根を辿り三郎ヶ岳を目指します。
高城山・三郎ヶ岳のピーク付近は登り・下りともかなり傾斜の急な登山道となります。危険箇所はありませんが、落ち葉などでやや滑りやすい印象です。雨・積雪の直後は注意が必要。
三郎ヶ岳から伊勢本街道へ下るコースは、石割峠付近へ下るルートと明開寺本院跡へ下るルートがあります。今回は石割峠方面へ下りました。
伊勢本街道に下ってからは、諸木野の集落を抜けて小峠・仏隆寺へ戻ります。
仏隆寺からの標準コースタイムは、約4時間20分!
休憩時間込みで5時間で計画しました!
今回のプラン
- 仏隆寺(7:47)→小峠(8:08)→高城山(8:28-40)
- 高城山→三郎ヶ岳(9:06-58)
- 石割峠・伊勢本街道出合(10:17)→仏隆寺(11:07)
天候:くもり→晴れ
距離:7.9km
活動時間:3時間20分
登山口の駐車場とアクセス
仏隆寺前の駐車場が利用できる
マイカーの場合は仏隆寺前の駐車場が利用できます!茅葺屋根の小屋が目印。長い階段が仏隆寺の参道で、大きな木がサクラの古木「千年桜」です!
台数は約10台ほど。サクラが見頃の時期は混雑が予想されますので注意してください。
トイレもあります。使用禁止となっていますが、これは寒い季節の凍結防止のため。春~秋は使用できるようです。
仏隆寺へのアクセス
マイカーの場合
- ナビの設定は「仏隆寺」にセット
- 榛原駅から国道369号線(伊勢本街道)経由
- 高井駐在所付近の看板が目印
公共交通機関利用の場合
- 最寄り駅は近鉄「榛原駅」
- 榛原駅→奈良交通バス「高井バス停」下車
- 高井バス停から徒歩30分・約2km
高井バス停の停留所
榛原駅からバスで15分ほど。仏隆寺まで徒歩で片道30分ほどかかるので、高井バス停を起点にする場合は往復で1時間~1時間30分ほどコースタイムを多く設定すると良いと思います!
三郎ヶ岳に登山!
仏隆寺→小峠→高城山
〈7:47〉それでは仏隆寺前駐車場から登山スタート!
まずは「高城山」への道標を頼りに、登山口の小峠を目指して車道を進みます。
上俵の集落手前に分岐。登山口は右側です。
分岐の上り側の道は室生寺へ繋がっているみたいですね。室生寺から住塚山・国見山まで自然歩道が続くので、そのまま曽爾高原まで歩いてみるのも楽しそう。
分岐にある小さな滝♪
うわ~…。花粉症のもとだ~(´・ω・`)
朝、しっかりお薬を飲んできました。それでも見てるだけでクシャミ出そう。
上俵の集落。棚田と山間の風景がのどかだな~(*´∀`*)
集落から西側に見える山並み。左奥が吉野の300名山「竜門岳」。そこから右に続く山塊が「音羽三山」です。右側手前に見える山は榛原の「伊那佐山」だと思います。
道標に従い進み、集落を抜けて林道へ。
しばらく林道を進むとログハウスがありました。
ログハウスの前の池。
ログハウスの入口付近に水場があります。一口いただきました♪
〈8:08〉ログハウスからしばらく林道を登っていくと、カーブに差し掛かる所で登山口の小峠に到着です!高城山・三郎ヶ岳への道標が目印!ここから山へ入ります。
帰りは伊勢本街道を辿ってここに戻ってくるプランになります。
樹林帯と熊笹の一本道。木の隙間から左手にお墓が見えます。
途中で山作業用の小道と合流し、再び登山道へ。
作業道が再び交差します。ここは真っ直ぐ。ん?足元なんだろう?
お!霜柱だー(゚∀゚)!
この日の前日頃に、ちょっとした寒波が訪れ、平地でも雪じゃなくて雹が降っていました。この日はかなり気温が上がるみたいだけど、朝方はそこそこの冷え込みでした。
たぶん昼には溶けちゃうんだろうなー。
小峠からしばらくはなだらかな登山道でしたが、高城山に近づくにつれて次第に傾斜が急になってきます。
結構、雪が残ってる。ピークの登り下りは、滑りやすいみたいだから気をつけなくちゃ。
山頂手前の急な登りでは鎖が設置されています。距離は短いけど、落ち葉が滑りやすく歩きにくい。
〈8:28〉急登が終わると高城山に到着です!!山頂には祠と休憩小屋があります。
高城山の看板。
高城山の山頂は北西から南側に展望が開けています♪
龍門岳~音羽三山方面。ん~ちょっと曇ってるな~。予報では晴れだったけど…。時間帯が早すぎたのかな?
大峰山・山上ヶ岳方面。あっちの方はここより雲が厚そう。寒波が通り過ぎたし、大峰山方面はまだまだ雪山かな?大峯山寺の戸開けが5月だからまだ春の大峰山は遠そう。
高城山→三郎ヶ岳
〈8:40〉小屋で少し休憩して、三郎ヶ岳を目指します!
ここからは尾根上を真っ直ぐ進みます。
高城山からの急な下り。かなり滑る^^;
雪が残っているのもそうだけど、落ち葉と雪解けのぬかるみでズルズルでした。
下りの途中で、道が熊笹に覆われている箇所がありました。でもテープで目印がしっかりあります。道が分かりにくい箇所は全体を通してここだけです。
急な下りが落ち着いてくると、山仕事の道と突き当たります。ここもそのまま真っ直ぐです。
高城山→三郎ヶ岳の間は何度かアップダウンがあります。2山の距離は短いけど、間のピークも少しキツめの登りです。
ん?ロープ?
ロープの向こう側にある岩から景色が眺められそうだけど、立入禁止かな?それとも道迷い防止?
雪で分かりづらいですが、尾根上は岩の露出した箇所もあります。
露岩の道はすぐ下に迂回路も整備されています。
お!アセビがそろそろ咲きそうだ(゚∀゚)!!春ももうすぐそこ♪
三郎ヶ岳の手前から急登が始まります!
山頂直下の急勾配。この日一番キツい登りでした。
〈9:06〉息を弾ませるながらなんとか登り切ると、三郎ヶ岳の山頂に到着です!
広くはありませんが開けた山頂。でも風は穏やかで、思っていたより寒くありませんでした。
到着した時間帯は三角点付近に霜柱がありましたが、休憩中に溶けてしまいました。
山頂の二等三角点!
三郎ヶ岳の山頂からご褒美の展望!
南東方面。真正面に見える山が関西のマッターホルン「高見山」!!山頂付近は真っ白!
その奥が伊勢辻山や国見山・水無山などの明神平周辺の台高の山々です。
西側には先程までいた高城山。
高城山から更に向こう側には奈良盆地も確認できました。遠くにうっすら見えるのは大和葛城山や金剛山などのダイヤモンドトレイルの山々です!
あっちの2コブの山が二上山。肉眼ではうっすら大阪市街まで眺められました♪
山頂に付く頃には晴れていると予想して、この時間帯にスタートしましたが、残念ながら曇り空でした。展望が良い山なだけに残念です…。
天気が良ければ、台高の池木小屋山から遠くに大台ケ原、大峰山脈まで見渡せるそうですよ!
晴れるのを期待して朝ごはんタイム♪早出が好きで、目当ての山に一番乗りしたいブログ主。山頂で朝ごはんが定番化してきています。
伊勢本街道:石割峠→仏隆寺
〈9:58〉朝食後も晴れるのを期待してしばらくゆっくりしましたが、なかなか晴れてくれそうにないので諦めて下山開始です!
三郎ヶ岳からの下りもめっちゃ急でした。
鎖が張られています。でもこっちの方が高城山付近より雪が少なく下りやすかったです。
急坂を下り終えると”石仏群”への分岐がありました。この石仏群がかなり楽しみだったので、もちろん寄り道します♪
三郎ヶ岳山頂直下の岩肌に磨崖仏が並んでいます。
なかなか険しい場所にあるけど、いつ頃掘られたものなんだろう?
苔に覆われて歴史を感じます。
分岐に戻りました。分岐からすぐ下に見える小屋の方へ下ります。
ですが、地形図では分岐からの支尾根にピークがあるようだったので、もしかしたらそのピークから展望があるんじゃないかと少し尾根を辿ってみました。マップの×印の所です。
でもピークは木々に覆われていて展望はありませんでした。
また分岐に戻り、小屋へ下ってきました。この小屋は麓の明開寺の奥ノ院と地図ではマークされていました。
ここに下る途中で、山仕事をされているおじいさん方がおられました。作業されていたのでお声掛けして通らせていただきました。
その際、少しお話させていただきましたが、前日にはこのあたりはまだ3cmほどの積雪があったようです。この日の気温で一気に溶けたみたい。
おじいさん達に連れられて、小学生のお孫さんも山仕事のお手伝いをしていました。
コロナウイルスの影響で春休みが長くなったけど、遊園地とかは閉園中だからどこにも遊びに行けないみたい。でも山仕事の手伝いも楽しそうでした(*´∀`*)
遊園地とかは他の休みでも行けるけど、山仕事はなかなか経験できないから正直うらやましい。山の中なら感染の心配もないだろうし。
石仏群の分岐から見えてた小屋はあっちですね。あっちが奥ノ院かな?
この小屋前から石割峠方面へ下るルートと明開寺方面へ下るルートがあります。
どちらに下っても伊勢本街道に合流できます!
ブログ主は石割峠方面へ下ります。明開寺経由で下る場合はコースタイム+30分ほどです。
樹林帯を下っていく!あれ…日差しが…。嫌な予感する。
伊勢本街道の出合までは登山道と言うより、山仕事用の林道のような樹林帯の道です。
〈10:17〉しばらく下っていくと伊勢本街道に突き当たりました。
ここが三郎ヶ岳の登山口。右側に見える重機のところに、
伊勢本街道「石割峠」の看板がありました。石割峠の実際の位置はここよりもう少し東(片道10分)にあります。
石割峠まで行こうと思ってたけど、看板があったからここで満足しました。
伊勢本街道を進み仏隆寺へ戻ります。
って、晴れとるやないかーーーい!!!
なんでやねん。まだ三郎ヶ岳から下り始めて30分経ってない…。なんで、下り始めたらすぐ晴れてしまうん…。
伊勢本街道を歩いていると「愛宕神社」がありました。
京都の総本山「愛宕山」へは何度か登りに行っています!
愛宕神社の境内。
愛宕神社からすぐに諸木野の集落。イイオテンキダナー。
伊勢本街道の古い石の道標。古道歩き大好き♪
諸木野集落からは少し登りです。
〈10:51〉ということで登山口の小峠に戻ってきました!
天気が良くなってからの上俵集落。山間ののどかな集落。
晴れたので、もう一度、龍門岳~音羽三山・伊那佐山方面の景色。どんどんいい天気になってくる…。
〈11:07〉なんか釈然としないまま登山口に戻ってきました!ブログ主、呪われてる?あと1時間遅くスタートしていれば…。
おまけ:仏隆寺へ参拝
でも仏隆寺へのお参りはこのいいお天気の中できるから結果オーライ!!
仏隆寺の名物「千年桜」。樹齢約960年にもなる巨樹のサクラ。奈良県下で最古のサクラとされています。(全国で4番目の古株)
幹の周りが約7.7mで高さが16メートル。県の天然記念物に指定されています。
まだ見頃までは1ヶ月ほどあるけれど、実は以前、他の山を登った帰り道に、サクラ見物に立ち寄ったことがあります。
三郎ヶ岳山麓の古刹「仏隆寺」。拝観料200円。
仏隆寺の境内。
本堂へお参り。
仏隆寺は真言宗室生寺派のお寺で、弘法大師空海の高弟「堅恵」により創建されたとされています。※一説には、興福寺別当、修円僧都がそれより先に開いたとも言われています。
本堂の横には「大和茶発祥伝承地」の石碑。
大和茶は806年、中国(唐)から弘法大師が持ち帰り栽培したのが起原と伝えられています。この仏隆寺には空海が持ち帰った”茶臼”も保存されています。
さくらの見頃はまだまだ先ですが、境内の梅は見頃でした(*´∀`*)
仏隆寺に並ぶ「白岩神社」
境内を出て川沿いの遊歩道を下り駐車場へ戻りました。
遊歩道の水車。この時間帯にはもうすっかり春の陽気。春の暖かいトレッキングが楽しめるのももうすぐですね♪
まとめ
ということで今回は三郎ヶ岳への登山でした!
少し天候に翻弄された1日でしたが、展望の良い山頂と「伊勢本街道」沿いののどかな集落、サクラの巨樹で名高い古刹「仏隆寺」と非常に見どころの多い山旅でした。
この日の数日前に寒波が訪れた影響で、少し滑りやすい登山道の状態でしたが、やや急斜面があるものの、全体的には歩きやすい道だったと思います。道迷いの心配もありませんでした。
このコースの登山適期は、やはり仏隆寺のサクラや紅葉が見頃の春と秋だと思います。
山の魅力だけでなく、磨崖仏や麓のお寺、伊勢本街道の古道と歴史を感じれるスポットが多く、まさに関西の山歩きの醍醐味が詰まった里山だと思いました!