紀伊半島で一際存在感のある「大峰山脈」。近畿の登山エリアで最も標高が高く、最も山深い山脈です!
山岳修験の聖地である大峰山脈には、女人禁制の山や近畿の最高峰の山など魅力的な山がたくさんあり、関西を中心に多くの登山者を魅了します!
今回はそんな「大峰山脈」の北部(吉野~天川村周辺)の山々を中心に、日帰りおすすめルートやコースの見所などの情報をまとめてみました!
〈この記事の内容!〉
- 大峰山脈の魅力!
- おすすめの日帰り登山ルート!
- 天川村周辺のお立ち寄り情報!
紀伊半島の背骨「大峰山脈」の魅力!
大峰山脈とは紀伊山地の脊梁をなす山脈です!山脈は奈良県南部~和歌山県まで紀伊半島を縦断し、山脈内には近畿地方の高峰が集中することから「近畿の屋根」や「大和アルプス」とも呼ばれます!
険しく急峻な山々から山岳修験が発達し、稜線上を北端の”吉野”から南端の”熊野”に至る約100kmにも及ぶ縦走路「大峰奥駆道」は、古くから2つの聖地を結ぶ重要な参詣道とされています。
山脈すべてが”霊山”として信仰され、登山者だけでなく多くの行者さんが行き交う宗教色の強い山域で、山名にも「普賢」や「大日」など仏教に纏わる言葉が多く、一般的な登山とはまた一味違った神聖な雰囲気が味わえる魅力的なエリアです!
また深田久弥の「日本百名山」にある”大峰山”は1つの山を指すものではなく、大峰山脈全般を指し記述されています。
山岳修験の聖地!
大峰山脈は日本の山岳修験(修験道)の発祥の地として知られています!
飛鳥時代に役行者(役小角)が創生したとされ、大峰山脈の山々にはその役行者が修行した”行場”が数多く残されています。
こういった行場や山岳信仰の山寺がコース内に見られるのも大峰山脈の魅力の一つです!
巌しい岩壁や荒々しく急峻な山々は修験道としての神聖な雰囲気が漂い、古来から信仰されてきた様子が今も山中に漂います。
世界遺産「大峯奥駈道」|紀伊山地の霊場と参詣道
大峰山脈の稜線上には吉野山から熊野本宮まで全長約100kmにも及ぶ「大峰奥駆道」という参詣道が続きます!
大峰奥駆道は修験道の開祖とされる役行者が8世紀初頭に開いたとされる修験道で、熊野古道の中では最も巌しいルートと言われています!
吉野(大峰)・熊野・高野山の3つの聖地を結ぶ「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部として2004年に世界遺産に登録されました!
見渡す限り山!
大峰山脈からの景色は見渡す限り山!!
お隣の台高山脈や高見山地、高野山から続く小辺路の稜線や和歌山県の山々までとにかく周りは山ばかりに囲まれた自然豊かな山域。
標高が近畿で最も高い山域なので、各山のピークからは展望が楽しめるポイントも豊富です!紀伊山地の山深さを最も感じられる山脈だと思います。
気候としては、夏季の雨量が多い日本有数の多雨地帯としても知られています。また標高が高いため台高山脈とともに積雪が多く、年間の平均気温が4~6℃ほどと近畿地方では最も冷涼な地域でもあります。
特に山脈の北部では積雪量が多く厳冬期には険しい雪山となります。ですがその反面、コースを選べば美しい樹氷や雪原ハイクが楽しめるスポットでもあります♪
大峰の山と日帰り登山ルート!
大峰山脈の山々の中から日帰り登山でオススメの山を北から紹介します!
- 吉野山
- 観音峯
- 山上ヶ岳
- 稲村ヶ岳
- 大普賢岳
- 行者還岳
- 八経ヶ岳
- 釈迦ヶ岳
日帰りルートの難易度・体力度は星3段階で評価し、コースタイムなどもまとめました!
難易度や体力度などはブログ主の個人的な感想なので登山道の状態を保証するものではありません。
吉野山|赤城山・青根ヶ峰
『吉野山』は大峰山脈の北端にある山稜!!
”吉野山”という山頂があるわけではなく修験道の総本山”金峯山寺”を中心とした社寺が点在する山稜の総称です!
吉野川南岸から大峰山脈へと南北に8kmに及ぶ尾根には、金峯山寺蔵王堂を中心に数多くの神社・寺院が立ち並びます。
古くから吉野山は”花の名所”として知られ、特にサクラは有名で、関西ではお花見スポットとして人気!
かの豊臣秀吉も天下統一後に吉野山で花見を行ったと云われています。
どちらかと言えば、登山というよりは観光面で充実したスポットです!
ハイキングとして吉野山を訪れるなら紅葉スポットの”高城山”や吉野山最高峰の青根ヶ峰まで登るのがオススメです!
高城山は古くは万葉集にも歌われ、吉野城の詰城があった山。山頂には展望台と休憩所が整備され、吉野連山の眺めが楽しめます!
〈吉野山の概要〉
- 標高:青根ヶ峰857m・高城山702m
- 場所:奈良県吉野郡吉野町
- その他:関西百名山
〈日帰りおすすめルート〉
『吉野駅→蔵王堂→高城山→奥千本→青根ヶ峰』
- 難易度★/体力度★
- CT:立ち寄るスポットに応じて増減
こちらは吉野山のシンボルである金峯山寺蔵王堂。
金峯山寺は修験道の総本山。蔵王堂は檜皮葺の屋根に正面5間、側面6間、高さ約34mもある大きな堂で東大寺の大仏殿に次ぐ大きさの木造建築です!
蔵王権現像が3体祀られ、ご本尊の高さは7mにも及びます!
大峰奥駆道と同じく金峰山蔵王堂も「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部として世界遺産に登録されています!
奥千本の最奥にある”西行庵”は紅葉スポットとしてオススメ!
西行庵は僧侶であり、百人一首などで有名な歌人である「西行法師」縁の地。武士を捨て法師となった西行が3年間佇住まいしたと伝わる小さな庵です!庵の中には西行像が安置されています。
西行が詠んだ歌のなかに登場する”苔清水”は今でもこの近くに湧き出ていて、大和の水31選にも選ばれています。
吉野山の最高峰は青根ヶ峰です!観光色の強い吉野山ですが、ハイキングとしてなら青根ヶ峰を目標に登ると良いと思います♪
青根ヶ峰までは吉野駅から距離がありますが、帰りは奥千本バス停からバスに乗ることもできるので観光と併せて楽しめます!
大峯奥駈道入門ルートを歩こう!五番関~吉野山
巌しい修験道が続く『大峰奥駆道』!!
ですが、山上ヶ岳の入り口である五番関~吉野山までのルートは修験道の入門コースとしてオススメです!
ややロングコースですが、天川村からスタートして吉野へ下るコースで歩けば日帰りも十分可能なコースだと思います♪アップダウンも少なく初心者からオススメ!
前日に天川村の洞川温泉でゆったり過ごしてから縦走するプランも魅力的です♪
また五番関は山上ヶ岳の「女人結界門」の外側になるので、このコースは女性の方でもチャレンジできる区間になります!
大峯奥駈道『五番関~吉野山』
- ピーク:大天井ヶ岳1439m・四寸岩山1235m・青根ヶ峰857m
- 難易度★/体力度★★★
- 距離:15.5km(五番関登山口~奥千本バス亭)
- CT:375分(逆順390分)
※吉野駅まで歩く場合:+90分/120分
五番関→吉野山の山行記事↓
このコースの最高点は五番関から西に進んだ大天井ヶ岳。
大天井ヶ岳からは大峰奥駆道を黒滝村、吉野山(奥千本)へと緩やかな縦走路を北上します!稜線上は基本的に樹林帯ですが、たまに展望ポイントもあり、宿坊や史跡なども数多く残され飽きることのない縦走路です♪
ゴールは吉野山の奥千本バス停。時間に余裕があれば、奥千本からそのまま吉野山へと下るのも楽しいと思います!
観音峯|大峰山前衛峰の展望台!
『観音峰』は大峰奥駆道から少し外れた支脈にある山です!
大峰山(山上ヶ岳)から西側に続く支脈の先にあります。
拠点となる天川村周辺の山々に比べると標高は低めで、大峰奥駆道から外れていることから大峰山脈の”前衛峰”という位置づけになります!
登山ルートは非常に登りやすい穏やかな山容となっており初心者の方や大峰山脈をこれから歩きまわりたい方にはまず最初に登ってほしい山です!
魅力はなんと言っても山頂手前にある”観音峯展望台”からの景色!山上ヶ岳や稲村ヶ岳、大普賢岳や八経ヶ岳など大峰山脈の主要山岳がパノラマの展望台から見渡せます!
登山ルートはあまり多くなく、観音峯登山口駐車場からのピストンか法力峠から洞川温泉へ下る周回ルートがオススメです!
ピストンの場合は、下山後に”みたらい渓谷”の遊歩道を組み合わせるのがオススメ!登山口からそのままみたらい渓谷の遊歩道へ合流できます!
〈観音峯の概要〉
- 標高:1347m
- 場所:奈良県吉野郡天川村
〈日帰りおすすめルート〉
その①ピストン:駐車場→観音峯展望台
- 難易度★/体力度★
- CT:登り100分/下り80分
その②周回:駐車場→観音峯→法力峠→洞川温泉
- 難易度★/体力度★★
- CT:250分
観音峰の山行記事↓
観音峯展望台は360度のパノラマビュー!大峰山脈の主要山岳が見渡せます!
草原の展望台にはススキの原が広がり、また絶滅危惧種の”ベニバナヤマシャクヤク”の自生地でもあり自然豊かな展望台です!
冬は雪化粧の大峰山脈。展望台からみた近畿の最高峰”八経ヶ岳”。
冬季の観音峯への山行記事↓
積雪の時期には奈良交通の「霧氷バス」が運行されるので雪山初心者にもオススメ!軽アイゼンさえあれば充分歩くことができます!
観音峯で雪化粧の大峰山脈の展望を楽しみ、下山後は洞川温泉でぬくぬく♪冬の温泉ハイクが楽しめます!
山上ヶ岳|大峯の総本山「女人禁制」の山!
『山上ヶ岳』は大峰修験道の総本山!
いわゆる「大峰山」とは広義では山脈全体のことですが、一つの山を大峰山と呼ぶ場合はこの”山上ヶ岳”のことを指します!
画像のお堂は山中にある修験道の根本道場”大峯山寺”。「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部として世界遺産に登録されています。
毎年、大峯山寺の5月3日の”戸開け”から9月23日の”戸閉め”までの間に行者さんはもちろん、全国から何万人もの登山者が訪れます!
山上ヶ岳では山中での挨拶が少し変わっていて、行き交う人々は「ようお参り!」という山上ヶ岳ならではの挨拶を交わします!
また全国でも珍しい「女人禁制の山」としても有名です!山上ヶ岳の各登山口には”女人結界門”が設けられ、女人禁制の教えを守り続けています。
日帰りおすすめルートは「清浄大橋ルート」がオススメです!”鐘掛岩”や”西の覗き”などの行場、行者さんが利用する宿坊が並ぶ表参道になります!
下山ルートは「レンゲ谷ルート」で清浄大橋から周回できますが、レンゲ谷はレンゲ辻までヤセ尾根の急な下りとなり、沢沿いは滑落の危険もあり初心者向きとは言えません。しっかりとした計画や装備が必要だと思います!
清浄大橋ルートをピストンの場合は、下山時に行場を迂回するルートが整備されています!
〈山上ヶ岳の概要〉
- 標高:1719.2m
- 場所:奈良県吉野郡天川村
- その他:関西百名山・日本三百名山※
〈日帰りおすすめルート〉
その①『清浄大橋ルート』
- 難易度★★/体力度★★
- CT:登り160分/下り120分
その②『レンゲ谷ルート』
- 難易度★★★/体力度★★
- CT:登り180分/下り130分
※山上ヶ岳は300名山にカテゴリーされていますが「女人禁制の山」となるので例外的な位置づけとっています。101個目として選出。
山上ヶ岳への山行記事↓
清浄大橋を渡ると「女人結界門」があります。ここより先は女性の入山が禁じられています。
大迫力の行場”西の覗き”。大峰山脈の中では最も有名な行場ではないでしょうか。
修行の一環として命綱を体に縛り、頭から崖に身を乗り出す荒行が行われています。一般の方でも行者さんにお願いして修行体験をすることができます!
絶壁から身を乗り出す恐怖感は半端じゃないです^^;ブログ主はチビるかと思った…。
「親孝行するか?」「家族を大切にするか?」などと先人さんに問われ「はい!!!」と大声で答えるまで吊るされ続けるという過酷な修行。勇気のある方はぜひチャレンジを!
こちらも行場の一つ”鐘掛岩”。こちらは岩の上まで鎖場をよじ登ります。ちなみに正面から登らなくても裏側から岩の上の展望台に登ることができます。
このような代表的な行場の他にも「油こぼし」などコース内には様々な岩場・鎖場があるコースで、距離は片道3時間弱かかるルートですが、飽きること無く楽しめるルートです♪
様々な行場を乗り越えたどり着いた山頂は、険しかったルートが嘘のような穏やかな草原(お花畑)が広がり、遠くまで見渡せる展望に恵まれたご褒美のような山頂です♪
稲村ヶ岳|自然豊かな「女人大峯」!
山上ヶ岳(大峰山)が女人禁制なのに対して、稲村ヶ岳は「女人大峯」と呼ばれる山です!
女人禁制の山上ヶ岳へお参りできない女性の信者さんは古くから稲村ヶ岳へ登拝していました。
稲村ヶ岳は大峰奥駆道の稜線上にはなく、観音峯と同じく山上ヶ岳から西に続く支脈にあるの山です。山上ヶ岳のお隣の山ですね。
稲村ヶ岳を遠くから眺めると、一番高い稲村ヶ岳の山頂の隣に一際尖った「大日山」のピークが目立つと思います。
大峰山脈周辺の山々から稲村ヶ岳方面を眺めると大日山のとんがりが目印になって見分けやすいです♪大日山へも稲村ヶ岳の登山コースから登ることができます。
日帰りのオススメコースは稲村ヶ岳登山口・母公堂から法力峠経て稲村ヶ岳を目指すルートがオススメです!
このルートは山腹をトラバースしながら進むルートなので少し注意が必要な場面もありますが、稲村ヶ岳の魅力である美しい自然に囲まれたルート!
スタート地点はマイカーの場合は「母公堂」から。バス利用の場合は「稲村ヶ岳登山口」から五代松代鍾乳洞を経て合流します。合流後は同じルートをたどります。
山上ヶ岳と同じくレンゲ谷ルートを利用して周回することも可能ですが、同じく経験者向きのルートとなるのでしっかりとした計画と装備が必要です。
また大日山への往復もハシゴや岩場の急峻な道なので注意してください!
〈稲村ヶ岳の概要〉
- 標高:1725.9m
- 場所:奈良県吉野郡天川村
- その他:関西百名山
〈日帰りおすすめルート〉
母公堂・稲村ヶ岳登山口からピストン
- 難易度★★/体力度★★
- CT:登り200分/下り150分
稲村ヶ岳の山行記事↓
稲村ヶ岳の山中は自然に恵まれた緑の多いルート!春はオオミネコザクラらシャクナゲ、サラサドウダンツツジなどが咲き、秋の紅葉も非常に美しい山です!
山頂から見た大日山。遠くから見てもそれとわかるほど尖ったピークが印象的です!
稲村ヶ岳の山頂からは山上ヶ岳~大普賢岳へと続く大峰奥駆道の稜線が見渡せます!
コース内にある名物の”マンモス杉”。本当にマンモスにしか見えない(*´∀`*)!訪れた際はさがしてみてね♪
大普賢岳|山岳修験の聖地と展望の山!
『大普賢岳』は大峰山脈随一の迫力のある雄峰!
山上ヶ岳から大峰奥駆道を南に進んだ稜線上にピークがあります。
魅力は役行者が修行したとされる数々の行場!
巨大な絶壁には奥駆道の名所である数多くの行場や史跡が並び、「修験道」としての姿が色濃く残る山です!そのことから大普賢岳周辺は”山岳修験の聖地”とされています。
山頂からは大峰奥駆道の南側へ続く稜線が一望でき、天川村周辺の山々や大台ケ原など大峰山脈北部の主要山岳が見渡せる展望に恵まれた山。
また植物にも恵まれ、春はシャクナゲやシロヤシオ、夏のヤマユリやオオヤマレンゲ、秋は紅葉、冬は樹氷と四季折々の美しさに彩られます♪
日帰りの場合は和佐又山ヒュッテからのピストンがオススメです!岩場・ハシゴは多いながらも登山道はよく整備されていて、コースタイム・距離も日帰りで計画しやすいコースだと思います!
無双洞周回ルートの場合は、コースタイムがかなりタイトで岩場・鎖場と辛いアップダウンが連続する経験者・健脚向きのコースとなります!
特に公共交通機関利用での日帰りはほぼ不可能。バス利用で無双洞周回ルートを歩く場合は和佐又山ヒュッテで前夜泊し早朝スタートするのが一般的です!
〈大普賢岳の概要〉
- 標高:1779.9m
- 場所:奈良県吉野郡天川村・川上村・上北山村
- その他:関西百名山
〈日帰りおすすめルート〉
その①『和佐又山ヒュッテ ピストン』
- 難易度★★/体力度★★
- CT:登り150分/下り120分
その②『無双洞ルート周回』※経験者向き
- 難易度★★★/体力度★★★
- CT:周回450分
近年、無双洞ルートでの事故も多く報告されています。散策気分での入山は危険ですので、事前準備・慎重な行動を心がけるようにしましょう。
大普賢岳への山行記事↓
役行者が修行したとされる行場が並ぶ登山道。巨大な絶壁の足元にある”笙ノ窟”。
行場を過ぎると大普賢岳へ向かいハシゴが連続するヤセ尾根を登ります!
急峻なハシゴ・岩場を越えて大峰奥駆道と合流し大普賢岳の山頂に立つと、南側に続く大峰奥駆道の稜線が一望できます!
個人的には大普賢岳の展望が大峰山脈の中でも特にお気に入りです♪もし余裕があるならピストンの場合でも山頂から少し南に下って展望ポイントの”水太覗”まで行くのもありだと思います!
行者還岳|稜線歩きが楽しい鋭鋒!
『行者還岳』は大峰山脈の中でも一際目立つ鋭鋒です!
山名は開山の祖”役行者”が、鋭くそびえる岩壁の姿をひと目見て、あまりの巌しさに踵を返して引き返したことに由来します!
鋭く尖った山容から登るのが困難にみえますが、現在はしっかりと整備されて歩きやすく、特に行者還岳へ向かって続く大峰奥駆道の稜線歩きは穏やかで非常に気持ちのいい登山道になっています!
また行者還岳周辺は”花の回廊”と称されるほど四季の花々に恵まれた登山道で、春にはミツバツツジやシロヤシオ、初夏にはヤマシャクヤクやクサタチバナなどの花が咲き、秋は紅葉も美しい稜線です!
日帰りオススメルートは行者還トンネル西口ルート!
登山口は有料駐車場が設けられているため行者還トンネル西口としていますが、トンネル東口・国道309号線ポイント90の登山口からのルートと基本的なルートは同じです。
どのルートも稜線に登ってから大峰奥駆道を北上して行者還岳を目指すルートになります!
最短ルートとしては大川口から登るルート(旧関西電力巡回路・小坪谷)がありますが、この2ルートはほぼ廃道状態で、老朽化により危険を伴うためオススメしません!
〈行者還岳の概要〉
- 標高:1546.2m
- 場所:奈良県吉野郡天川村・上北山村
- その他:関西百名山
〈日帰りおすすめルート〉
『行者還トンネル西口ルート』(東口・R309のP90)
- 難易度★★/体力度★★
- CT:登り150分/下り120分
行者還岳への山行記事↓
行者還トンネルから稜線へ登るとアップダウンがほとんどない、大峰奥駆道のなだらかな稜線歩きが楽しめます♪
豊かな花々も美しいルートで、稜線上には展望ポイントも多く、八経ヶ岳や弥山なども垣間見えます!
真正面には大普賢岳。東側には木々の隙間から大台ケ原なども見ることができます♪
八経ヶ岳|近畿地方最高峰で百名山!
『八経ヶ岳』は”近畿の屋根”と称される大峰山脈の最高峰の山です!近畿地方の最高峰!!
八経ヶ岳は別名を「八剣山」とも呼び、また役行者が法華経8巻を埋納したとの言い伝えから「仏経ヶ岳」とも呼ばれます。
関西では数少ない日本百名山の一座※に数えられていて、近畿地方の最高峰でもあることから関西地方だけでなく、全国から登山者で賑わう大峰山脈の1番人気の山ですね!
日帰りでおすすめのコースは行者還トンネル西口ルート!
八経ヶ岳への登山ルートはこのコース以外は基本的にロングコースとなるので日帰りならこのルートが良いと思います!
一番利用者の多いメインルートで整備もしっかり行き届き、階段が多いので体力はある程度必要ですが初心者の方でも安心して利用できるルートです!
また行者還トンネル西口には有料駐車場も設けられているので、遠方から来られる方にもオススメです!
〈八経ヶ岳・弥山の概要〉
- 標高:1914.9m・弥山1895m
- 場所:奈良県吉野郡天川村・上北山村
- その他:関西百名山・日本百名山
〈日帰りおすすめルート〉
『行者還トンネル西口ルート』
- 難易度★/体力度★★
- CT:登り180分/下り140分
八経ヶ岳への山行記事↓
八経ヶ岳の山頂からは紀伊山地の山深い展望が広がり、日本百名山※に選ばれていることから全国から多くの登山者で賑わいます。
また山頂付近には天然記念物の「オオヤマレンゲ」の群生地があります。残念ながらブログ主が訪れた6月後半の梅雨時期はまだツボミでした。見頃は7月初旬頃。
※日本百名山の「大峰山(1915m)」とされていますが、これは広義での大峰山の最高峰「八経ヶ岳」の標高です。山上ヶ岳は”女人禁制”が守られているので、その最高峰の八経ヶ岳を日本百名山とするのが一般的です!
『日本百名山』において深田久弥は山麓の吉野郡天川村洞川(どろがわ)から山上ヶ岳に登った。宿坊で泊まり翌朝山頂に立つとそこから南へと大峰山脈縦走路(大峯奥駈道)に入り大普賢岳、行者還岳を経て夕方に弥山(みせん)の山小屋に着、翌朝に近畿の最高地点である八経ヶ岳の山頂に登った。縦走路はさらに南へ続くが大峰山最高峰到達に満足し山を下ったとされる。
出典:Wikipedia『大峰山』
弥山から見ると八経ヶ岳はきれいなピラミッド型のピークに見えます!この日はたまたまピークを境にくもりと晴れがくっきり分かれていてなんとも不思議な光景でした!
ピラミッド型だし不思議なパワーがあるかも!笑
弥山の山頂には大峰山脈では数少ない有人の山小屋”弥山小屋”があります。特に百名山巡りをされている遠方からの登山者に人気の小屋です!
小屋にはテント場もあるので、奥駆道の縦走や天川川合からのロングコースでも利用しやすいと思います!
八経ヶ岳へ向かう大峰奥駆道上の聖宝ノ宿跡に鎮座する”行者像”。モデルは大峰中興の祖”聖宝理源大師”。
釈迦ヶ岳|美しい尾根と釈迦像!
『釈迦ヶ岳』は古くから大峰山脈随一の秀峰と言われるほど、美しい山容と優れた展望で知られる山です!
200名山の一座に数えられ、大峰山脈の中でも特に人気の高い山!
山頂に安置されている釈迦如来像は大正時代に「鬼マサ」の異名でしられた岡田雅行という強力さんが、たった一人で道を作りながら、3分割して担ぎ上げたと伝えられています!!
オススメルートは西側から尾根を辿る太尾ルート!このルートは十津川村の旭ダム上流から西側の支尾根を登るルートで、太尾登山口から視界の広がる開放感のある尾根道♪
原生林に囲まれたコースが多い大峰山脈ですが、尾根歩きが非常に楽しく初心者から登れるとっても人気のコースです!登山口まではマイカー必須。
その他には南奥駆道との境に”前鬼ルート”がありますが、日帰りだとややロングコース。
マイカー利用で体力に自信があれば日帰りも可能ですが、公共交通機関利用では日帰りは困難です!その場合は前鬼の宿坊”小仲坊”などを利用して前夜泊がオススメです。
〈釈迦ヶ岳の概要〉
- 標高:1799.6m
- 場所:奈良県十津川村・下北山村
- その他:関西百名山・日本二百名山
〈日帰りおすすめルート〉
『太尾ルート ピストン』
- 難易度★/体力度★★
- CT:登り130分/下り100分
釈迦ヶ岳への山行記事↓
太尾ルートから釈迦ヶ岳へ続く尾根。とっても開放感があって楽しいコースです!春から秋にかけては日差しが非常に強いので帽子は忘れずに!
釈迦ヶ岳の山頂からは八経ヶ岳へ続く大峰奥駆道の北側の景色が望めます!
山頂付近は多くの花が咲く隠れた”花の名山”でもあり、特にシロヤシオがとっても綺麗です♪シロヤシオのスポットが多い大峰山脈の中でも、ブログ主は釈迦ヶ岳のシロヤシオがとってもオススメ!!見頃は5月中旬~。
野生動物も多く、シカの群れとよく出会えます♪ですが、たまーに熊の目撃情報もあるのでご注意ください!熊鈴は忘れずに~。
大峰山脈の登山地図!
昭文社:山と高原地図52「大峰山脈」
昭文社「山と高原地図」はルートやコースタイム、見所や水場などの情報が実踏調査に基づいて詳細に記載されている定番の登山地図です!年度ごとに情報がアップデートされるので常に登山道の最新の状態を確認することができます。
用紙にはアウトドア環境で使用しても耐久力と耐水性がある用紙が使用されています!
大峰山脈の該当するマップは52「大峰山脈」
GPSアプリもオススメ!
大峰山脈は原生林に囲まれた山深いエリアなので、山脈内の山・峠では多くのルートが合流します。利用者が減り廃道になったルートや作業用の小道など地図にも載っていないようなルートもあり道迷いなどで遭難する危険もあります。
そこで現在地の確認がすぐにできるスマホの登山用「GPSアプリ」があると便利です!
様々な企業からリリースされていますが、どのGPSアプリもスマホの進化に伴い精度が非常に高くなっていて、一部の色付き地図などの有料機能以外は基本”無料”で利用できるアプリがほとんど。
ブログ主が利用しているのは「YAMAP(ヤマップ)」というアプリ!利用者も多くて情報の更新が早く、操作がシンプルで使い勝手が抜群!みなさんの「活動日記」を参考にして次の山行を計画させていただいています♪
天川村周辺のお立ち寄り情報!
今回紹介した「大峰山脈北部」の山々の多くが天川村を拠点としたルート!
そこで下山後に寄り道したい天川村のお立ち寄り情報をまとめてみました♪
洞川温泉
”大峰山”の山麓である天川村は「洞川温泉」という温泉地として知られています!
洞川温泉は古くから山岳修験の里として行者・登山者の拠点となる温泉街。標高約820mの高地に位置する山里で、夏も涼しく過ごしやすい気候から”関西の軽井沢”とも呼ばれる場所です。
温泉街はどこか懐かしさを感じる街並みで、温泉旅館・民宿が20軒以上も軒を連ね、お土産屋さんや特産品の”陀羅尼助丸”を販売する商店が並んでいます。
温泉街の裏手を流れる川から温泉街。昭和時代にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな風景。
日帰り入浴するなら天川村営の「洞川温泉センター」が利用しやすいと思います!
洞川温泉センターのお風呂は名産”吉野杉”を使った檜の大浴場と夏でも涼しい川沿いの露天風呂。内湯にはジェットバスもあり登山後の疲労回復にもってこい♪
駐車場が広く下山後に登山口からマイカー移動でも利用しやすく、温泉利用で90分の駐車料金がサービスされます♪
またこちらの駐車場を利用して洞川温泉街をぶらぶら観光するのもオススメです!
みたらい渓谷
”みたらい渓谷”は近畿地方でも随一の美しさと讃えられる渓谷。
エメラルドグリーンに輝く神秘的な渓谷には、大小様々な滝と迫力のある巨岩沿いに遊歩道が整備されていて、吊橋から眺める美しい渓谷はまさに絶景!
ブログ主が初めてみたらい渓谷を訪れたときは、あまりの美しさに2時間以上長居してダイナミックな渓谷美に感動しました!
みたらい渓谷は四季折々の景観に彩られ、春~初夏は新緑がきらきら輝き、真夏はひんやりと涼しく、秋は木々が紅葉で色づきます!
川底まで透けて見えるほどの清流は、エメラルドグリーンに輝き神秘的♪
駐車場は国道309号線沿いに有料駐車場がある他、天川川合(役場・バス停)からはハイキングコースも整備されています!
特に”観音峯”に登られる方は観音峯登山口駐車場からそのまま”みたらい渓谷の遊歩道”へ合流することができるので、登山と渓谷を組み合わせて楽しむプランがオススメ!
※観音峯登山口駐車場は無料。駐車場からみたらい渓谷へ徒歩3分!
詳しくは『みたらい渓谷』の散策レポをご覧ください↓
名水「ごろごろ水」
みたらい渓谷の美しい清流もそうですが、天川村周辺は名水の宝庫!!
特に日本の名水百選にも選ばれている「ごろごろ水」は遠方から水くみに来られるほどの名水。非常にナチュラルな水質で飲むと喉をスーッと抜けていくような清涼感のあるお水です!
ごろごろ水の名称は、山岳修験の祖”役行者”が大峰山より下山時に水を召された際に、洞窟の奥から小石が転がるような音を響かせながら流れ出る清水の様子から名付けられたそうです!
給水所は”ごろごろ茶屋”に併設する駐車場にあります。ごろごろ茶屋ではごろごろ水で淹れたコーヒーなども味わえます!
駐車場の各スペースごとに水汲み場があり、給水自体は無料なので大きなポリタンクなどをたくさん積んで汲みに来られる方が多いです!ちなみにごろごろ水はお土産屋さんなどでペットボトルでも販売されています。
歩行者専用の水汲み場も設けられているので、ブログ主は登山の帰りに折りたたみのソフトボトルに汲んで持ち帰っています!歩行者は無料で利用できるのもうれしいポイント♪
ごろごろ水で炊いたお米やお鍋はほんとうに美味しいです(*´ω`*)
また天川村はきれいなお水に恵まれているので豆腐作りが盛んな地域です!温泉街にもお豆腐屋さんがいくつもあり、お土産としても大人気!
ごろごろ水と天川村のお豆腐で”湯豆腐”にすると驚くほど美味しいですよ♪
その他の『お立ち寄り情報』や『キャンプ場』についてはこちら↓
まとめ
ということで今回は「大峰山脈北部の日帰りおすすめ登山ルート」の紹介でした!
大峰山脈は近畿で最も山深いエリア!山脈すべてが霊山という巌しい修験道でありながら、紀伊山地の豊かな原生林に囲まれた穏やかな自然という顔を持ち、手つかずの大自然とはまた一味違った神聖な雰囲気が漂う山域です!
今回紹介したルートの他にもまだまだ魅力的な山やルートがあるので、今後登ってみた際にその都度更新していこうと思います。
またブログ主はまだそれほど足を運べていませんが、大峰山脈の南部にも魅力的な山がたくさんあります!聖地”熊野”へ通じるハイライトの南部の山々についても、これから折を見て歩いてみたいと思います♪
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