2019年10月初旬、今回は行者還岳に登ってきました!
行者還岳は紀伊山地を南北に連なる大峰山脈の山。修験道”大峯奥駈道”のほぼ稜線上に位置する山です。
その昔、大峰修験の開山の祖”役ノ行者”が、鋭くそびえる岩壁の姿をひと目見て、あまりの巌しさに踵を返して引き返したことから”行者還岳”という山名となったそうです。
現在はしっかりと整備されて歩きやすくなり、特に大峯奥駈道の行者還岳周辺は”花の回廊”と称されるほど四季折々の花々に恵まれた登山道です!
そんな行者還岳へ、今回は行者還トンネル西口を起点に登りました!
標高:1546.5m
山域:大峰山脈
場所:奈良県 天川村、上北山村
2万5000分の1図:弥山
その他:関西百名山、世界遺産(大峯奥駈道)
大峰山脈(北部)の日帰りオススメ登山コースまとめました!
行者還岳の登山ルート
行者還岳の代表的な登山ルート
行者還岳への代表的なルートは、
- 行者還トンネル西口ルート
- 行者還トンネル東口ルート
- 国道309号線ポイント90番(トンネル東側)
- 大川口ルート(旧関西電力巡回路)←ほぼ廃道
- 大川口ルート(小坪谷)←ほぼ廃道
などのルートがあります!
行者還岳は大峯奥駈道のほぼ稜線上にある山なので、基本的に奥駈道に合流して稜線を進み山頂を目指すルートになります。七曜岳・大普賢岳や弥山・八経ヶ岳方面からの縦走も人気です!
最短ルートとしては大川口から登るルート(旧関西電力巡回路・小坪谷)がありますが、この2つのルートは利用者の減少によりほぼ廃道状態。通行困難で危険を伴うため入山はお勧めしません。
今回は行者還トンネル西口からピストン!
今回は行者還トンネル西口から大峯奥駈道を辿るルートを選択しました!
このルートは登山口から奥駈道に合流するまでは急登ですが、奥駈道出合からは多少アップダウンはあるものの、気持ちのいい稜線歩きが楽しめるルートです。
計画段階で悩んだのが、東口ルートやR309のポイント90番からのルート。特に90番ルートはレポでも良くアップされていたので歩いてみたかったのですが、ブログ主の登山地図やアプリ(ヤマップ)ではルートに指定されていなかったので、今回は西口からピストンします!
標準のコースタイムは登り3時間10分/下り3時間
休憩時間を含めて7時間30分ほどで計画しました!
今回のプラン!
- 登り:登山口(7:15)→奥駈道出合(7:59)→一ノ垰(8:25)→行者還ノ宿(9:21)
- 山頂ピストン:行者還ノ宿→行者還岳(9:57)→行者還ノ宿(10:20-10:43)
- 下り:一ノ垰(11:34)→奥駈道出合(12:01)→登山口(12:36)
天候:ガス→快晴♪
距離:10.3km
行動時間:5時間20分
高低差:448m
行者還岳の駐車場とアクセス
行者還トンネル西口の有料駐車場
今回の登山口となる「行者還トンネル西口」には有料駐車場があります。行者還トンネル西口は弥山・八経ヶ岳の登山口でもあります。というよりほとんどの方が八経ヶ岳方面へ向かわれます。
百名山の八経ヶ岳の登山口なので全国から多くの登山者が利用される駐車場です。
こちらが駐車場の料金表。山バッチや飲み物の販売もされています♪
住所:奈良県吉野郡天川村北角 GoogleMapへ
駐車料金:普通車 1000円/1日
GoogleMapコード:34.188877, 135.937116
その他:有料トイレ100円 靴・杖洗い場あり
アクセス
行者還トンネル西口へのアクセスは、
- 天川村方面(西)から、国道309号線
- 上北山村方面(東)から、国道169号線→309号線
のルートでアクセスできます!
国道309号線は非常に道幅が狭く、見通しの悪いカーブが続く道路です。関西では”酷道”と呼ばれて有名なほど…。運転には十分注意してください!
また公共交通機関でのアクセスは難しいと思います。天川村までバスで行き、そこからタクシーを利用する方法ならアクセス可能です。徒歩だと天川村役場から4時間ぐらい…。
行者還岳に登山!
行者還トンネル西口→奥駈道出合→行者還ノ宿
〈7:15〉それではトンネル西口の登山口から登山スタート!
天気予報ですごくいい天気だと言われていたので、7時に到着した時点でメインの駐車場はほぼ満車になっていました。登山口も混雑して登山計画書を書くのに順番待ち状態でした。
この登山口からほとんどの方々は八経ヶ岳へ向かわれます。
登山口から沢沿いを進みこの橋を渡って尾根をたどります。
西口~奥駈道出合まではなかなか辛い急登。行者還岳まで先が長いし、ここはゆっくり進みました。
稜線に向かって登りつめていくと、うっすらとしたガスが出はじめました。でも日差しでこれだけ明るいんだったらすぐ晴れそうですね♪
きつい急登を登り切ると、
〈7:59〉奥駈道出合に到着!10人以上の方が休憩しておられました!
みんな弥山・八経ヶ岳へ向かって西に向かう中、ブログ主は一人離れて反対側へ。この奥駈道出合から行者還岳までは片道約4.2kmです!
西に向かって稜線を進みます!景色はガスが無くなるまで少しお預けかな~。今回は同じルートを戻ってくるので、景色は帰りに楽しもう♪
しばらく山腹を西に進んで、
再度、稜線上に出ると、道が90度曲がって北に進みます!ガスも薄くなってきましたね♪
〈8:25〉稜線を北に進み始めてしばらくすると、一ノ垰の分岐があります!
この一ノ垰では行者還トンネル東口からのルートが合流します。
一ノ垰~行者還ノ宿までは小さなアップダウンはあるものの、基本的には平坦な縦走路になります!
道脇に小さな池がありました。看板が割れてしまっていて名前はわかりませんが、たぶん”一ノ池”かな?
お!ガスなくなってきたー(゚∀゚)
ガスが無くなると景色のいい稜線歩き♪弥山とピラミッド型のピークが特徴の八経ヶ岳が顔を出しはじめました(*´ω`*)
ほんと気持ちのいい稜線♪右に見える山は大普賢岳です!
たまにピークを巻くように山腹を進む箇所では、緑の美しい苔がびっしり。
まだガスが若干残っている中、背中から太陽の光が差し込んで、輪っか状の虹ができていました(゚∀゚)プチブロッケン。写真ではわかりにくいけどブログ主の影の頭上あたりです。
うっすらしたガスに太陽の光が反射して幻想的♪
そろそろ見頃の時期が終わり枯れ始めたトリカブトの花。
ん?ネットで囲まれてる!なんだろう?
地図を見るとお花のマークがありました。あの花かな?この花はおそらくアザミ。
気になったので下山後に調べてみると、このネットで囲まれてるあたりは”クサタチバナ”というお花の群生地のようです。クサタチバナは白色のお花だからアザミは関係ないのね^^;
このあたりのクサタチバナの見頃は6月中旬頃だそうです!
もうすっかりいいお天気♪東側に連なる山脈は台高山脈。その真正面に見えるのは大台ケ原です!
ガスが完全になくなると、気温も一気に上がってきました。でも湿気の感じないカラッとした気候で、そよ風が気持ちよく吹いていました。まさに秋晴れ!!こんなにいい天気の登山は久しぶり♪
〈9:21〉秋晴れの気持ち良さを感じながら、足取り軽やかに稜線を進むと行者還ノ宿という避難小屋に到着です♪
そして小屋の後ろに見える山が今回の目的地”行者還岳”です(゚∀゚)!
避難小屋から行者還岳の山頂へ!
行者還岳は大峰山脈を代表する鋭鋒。南側の岩壁は迫力ありますね!役ノ行者さんがこの荒々しいピークを見て引き返すのもわかるな~。
もちろんあの岩壁を登るんじゃなくて、裏側に回り込んで登ります。
それでは行者還岳の山頂を踏みに行きましょう♪小屋横から奥駈道を北に進みます。
行者還岳のピークを巻くように山腹を進みます。
大きな岩の間にお地蔵さん。
少し道が細く、切れ落ちた箇所があります。慎重に…慎重に…。
通過して振り返るとこんな感じ。滑落防止にしっかりフィックスロープが張られています。
通過すると水場があります。なかなか険しい場所にある憩いのスポット。
水場の少ない大峯奥駈道では貴重な水場です。冷たくて美味しい水でした(*´ω`*)
水場を過ぎるとハシゴの急登です!今回のコースの中では唯一緊張感がある箇所でした。ハシゴは少し歪んでいるので、慎重に登っていきます。
ハシゴを登りきってもしばらくは急登が続きます。
急登を終えると、大普賢岳へ続く奥駈道の美しい稜線。このまま稜線を進みたいですが、
行者還岳の山頂は稜線から少し外れた支尾根にあります!
奥駈道との分岐から行者還岳の山頂はすぐです!
少し登ってシャクナゲの木々が埋もれるほど多くなってくると、
〈9:57〉行者還岳の山頂に到着です!!着いたーヽ(^o^)丿
行者還岳の山頂は木々に囲まれているピークで展望はありませんでした。ここでは休憩は取らずに行者還ノ宿に引き返します。
避難小屋に戻ります。下りのはハシゴは登りより慎重に。
巨岩におられるお地蔵さんの前を戻って、
たくさん咲いているトリカブトの花に癒やされつつ、
〈10:20〉行者還ノ宿に戻ってきました!
小屋の中を見学♪行者還ノ宿はログハウス風の避難小屋。奥駆道の中でも特に快適に過ごせる小屋としても人気!縦走される方々にとっても評判のいい小屋です。
しかもロフト付き(゚∀゚)正直住めるレベル!今度泊まりに来よう!
トイレも完備!!
小屋で休憩しても良いのですが、小屋のすぐ先のここを左に行くと、
こんなに景色のいい休憩ポイントがありました(*^^*)真正面に大台ケ原。左手前のピークが和佐又山。
振り返ると行者還岳がこんなにきれい!!雲ひとつ無い快晴になりました♪
景色を楽しみながら少し早いランチタイム♪コンビニでランチパックを買ってきました!秋らしいなると金時芋あんマーガリン♪
なぜか金時芋の方だけパンパンに膨らんでいました・ω・なんで?
同じルートで行者還トンネル西口に下山!
〈10:43〉ごパンを食べて展望も堪能でしたので、そろそろ下山開始です!同じルートを辿って登山口へ戻ります。帰りは朝方より天気いいし景色が楽しみ♪
休憩ポイントを出発してすぐに大川口・小坪谷への分岐があります。この2ルートは現在ほぼ廃道化しているそうで、かなり危険な状態になってしまったみたい。以前はガイドブックでも良く紹介されていたルートですが、おそらく交通の不便さとトンネル西口に有料駐車場ができてこのルートの利用者が減ったことで廃道化が進んだのだと思います。
通行人安全のお地蔵さん。奥駆道の守り神!!
天川村方面に木々の隙間から見えるゴツゴツした山はバリゴヤノ頭。隠れて見えませんでしたがバリゴヤノ頭の右(北)には稲村ヶ岳があります。
天気が良くなってとにかく歩くのが気持ちいい縦走路。
大きな倒木。わかりにくいけど、根っこの高さは3mぐらいあります。でかい!
まだ全然時期が早いけど、すこしだけ木々も赤く色づき始めていました。この感じだと、紅葉の見頃は10月下旬ごろからじゃないかな?
鉛筆の先っぽみたいにピンっと尖ってるピークはおそらく鉄山だと思います。
たまにしっかり紅葉している木もありました♪秋だね~。今年はもしかしたら大峰の紅葉は当たり年になるかもな~。
行者還岳~大普賢岳への縦走路。大普賢岳周辺は少し険しい縦走路みたいだけど、いつかは挑戦してみたい!もっと経験積まなきゃですね。
地図上の1458mピーク付近に脇道がありました。たぶんこの左の道が90番ポイントのルートだと思う。次登る時はこのルートを歩いてみよっと!
鉄山から弥山・八経ヶ岳。あっちも見事な秋晴れ。山肌がくっきり見える♪
きのこに愛されている木。
一ノ垰を過ぎて、奥駆道出合に向かって山腹を戻る。
朝はガスでしたが、帰りは木漏れ日が照らす美しい森に。
赤い木の実。
奥駆道出合まであと少し。下山するのがもったいないぐらいの快晴♪
八経ヶ岳から南に続く奥駆道。いつかは完踏してみたい。
〈12:01〉ということで奥駆道出合に戻りました。
トンネル西口に戻る途中、木々の隙間から行者還岳が見えました。
この時間帯に下山していると、続々と登りの方々とすれ違います。この時間帯に登り始める方々は皆さんお泊りの装備でした。こんな日にテント泊したら気持ちいいだろうな~。
奥駆道出合~トンネル西口までの短い間に40~50人ほどの方々とすれ違いました。もう下山するだけのブログ主は、登られる方に道を譲りながらゆっくり下山しました。
苔に覆われた原生林。
橋を渡って、
川沿いを戻って、
〈12:36〉登山口に無事下山!わぁー完全に満車になってるー!
反対側の駐車場にも車がびっしり!県外ナンバーの車がたくさん停まっていました。
まとめ
ということで今回は大峰山脈「行者還岳」への登山でした!
この日はとにかく天気に恵まれて、気持ちのいい山歩きが楽しめました♪
今回のルートはやや遠回りのルートでしたが、登山口~奥駆道出合までの急登以外は、基本的に景色の良く開放感のあるなだらかな稜線歩きが楽しめるルートでした!秋晴れの山行に最適♪紅葉の時期は特にオススメ!
また春はシロヤシオやミツバツツジ、シャクナゲ(ヤマシャクヤク)やクサタチバナなどお花にも恵まれたルートだと思います。
注意する箇所としては、避難小屋の先の水場周辺のハシゴ付近は少し注意が必要かな~といった印象ですが、きっちりフィックスロープが張られて対策されているので慎重に歩けば問題ないと思います。
次に行者還岳に登る時は、気になっている90番ポイントからのルートを辿って、七曜岳まで足を延ばしてみるのもいいかな~と考えています♪