2021年1月下旬、今回は熊野古道「大辺路」を歩いてきました!
前回のパート③では、大辺路で唯一の渡し船”安居の渡し”で日置川を渡り、峠道「仏坂」を登って海沿いの周参見駅まで歩きました!江戸時代の旅人になったような気分でとっても思い出深い旅路になりました♪
今回は、大辺路の3大難所のラスト「長井坂」に挑戦です!
このコースのハイライト「長井坂」は、すさみ町の和深川地区から見老津に越える約4.5kmの峠道!美しい原生林の隙間から”枯木灘”の大海原が望める楽しい山道となります!!
大辺路の中では古道の面影を最もよく残し、気持ちの良い尾根道と眺望が楽しめる名コースです♪
大辺路1回目「紀伊田辺駅~紀伊富田駅」はこちら↓
前回の「仏坂」安居の渡し~周参見駅はこちら↓
パート⑤「見老津駅~田子駅」をアップしました!
今回の熊野古道「大辺路」プラン!
4回目は「長井坂」周参見駅~見老津駅
今回は「周参見駅~見老津駅」の区間を歩きます!
この区間は馬転坂・タオの峠・長井坂と3つの峠道があります!といってもメインの長井坂以外は非常に短い峠となり、適度に山歩きを楽しみながら古道を進む区間となります♪
周参見駅からスタート!まずは「馬転坂」の登り口へ国道沿いを進みます。生コン工場の敷地内を抜けると登り口。※現在、「馬転坂」は通行止めのため迂回路を進みました。
迂回路から下ってくると西浜入口・西浜バス停。
西浜バス停からしばらくは舗装路を進み、脇道から「タオの峠」へ。短い山歩きが終わると田園風景が美しい和深川地区。地区内に大辺路では数少ない”和深川王子神社”があります。
神社からしばらく進むといよいよメインの「長井坂」!西登山口から尾根に登るまでは急ですが、それ以降はほぼフラットな尾根道となります♪
自然林の間からは枯木灘を望み、土手状に整形された”版築(段築)”を進む。非常に足取り軽やかな山道が続きます。
林道に合流すると、そこから東登り口へ向かって急激な下り。下りきると見老津駅に到着です!
このコースの総距離は約10.5km!
標準コースタイムは約4時間20分!
「馬転坂」は現在通行止め!迂回路あり※2021年1月現在
今回の区間で最初の峠道「馬転坂」は、工事中のため通行止めとなっていました!※2021年1月現在
この区間は名前の通りアップダウンが少し急で、もともとコース内の木橋などの足場が少し悪いという情報もあったので、そのあたりの整備なんだと思います!
迂回路(ピンク)が整備されているので通行自体は可能です!迂回路の様子は本編で!
この区間は地元のグループの調査・普請により近年より通行可能となった古道でもありますので、また普及した折には再挑戦したいと思います♪
今回のプラン・山行データ
- 馬転峠〈迂回路〉:周参見駅(7:00)→登り口(7:14)→西浜入口(7:47)
- タオの峠:西浜バス停→和深川王子神社(8:28-38)
- 長井坂:西登り口(8:50)→東登り口(10:03)→見老津駅(10:06)
天候:晴れ
距離:11.2km
活動時間:3:06
アクセス・駐車場
マイカーの場合は周参見駅前に町営駐車場あり!
マイカーの場合は、起点の周参見駅前に町営駐車場があります!駅から徒歩2分!
本来は有料パーキングなのですが、故障のためにまさかの無料開放中でした!!
普段は1回300円で利用できるようです。
「周参見駅」へのアクセス
〈公共交通機関でのアクセス〉JR紀勢本線[きのくに線]
- 紀伊田辺駅→周参見駅:590円
- 串本駅→周参見駅:590円
〈マイカーでのアクセス〉
- 田辺市方面:約45分・紀勢自動車道「日置川IC」から約10分
- 串本町方面:約45分・国道42号線
- 帰り:見老津駅→周参見駅 200円
熊野古道「大辺路」④「長井坂」周参見駅~見老津駅
馬転坂(迂回路):周参見駅→登り口→西浜入口
早朝の周参見駅!
この日は前夜に自宅を出発して、深夜に駅に到着!駐車場で軽く仮眠を取りました。今回は車をデポしたので見老津駅からの帰りは電車でこちらに戻ってきます。
〈7:00〉それでは熊野古道スタート!まずは馬転坂の登り口へ向かいましょう!
駅前の通りを進み、
国道42号線に合流。登り口までは国道沿いを進みます。
朝焼けの枯木灘(゚∀゚)!
ここまでの大辺路旅は富田坂→仏坂と、川を横断しながらの山道でしたが、今回からは海岸沿いのルートになります♪大辺路全体のゴール「那智駅」までず~っと海岸です!!
湾の向かい側に見える山が馬転坂の峠。
カーブのところにある生コンの工場へ。
思いっきり作業中の工場内。この敷地内に入っていくのは少し躊躇しますが、工場の前に「大辺路」の道標もあり、れっきとした正規ルートとなります!
作業されている方々の邪魔をしないように注意しながら通らせていただきました。
工場の敷地内からこの間を抜けた所に、
〈7:14〉馬転坂の登り口があります!
ですが冒頭でご紹介した通り、現在は工事中のため通行止め。
実はブログ主は通行止めになっていることを知りませんでした(´・ω・`)
もっとしっかりと事前に調べておかないとですね…orz
ということで作業中の方々のお邪魔になっちゃって申し訳ないですが、もう一度敷地内を通らせてもらい国道に戻ってきました!
迂回路を進んでいきましょう!
そのまま国道をしばらく進むとトンネルの手前・左手に林道があります。この林道が迂回路。
迂回路にもしっかりと大辺路の道標が設置されていました!
迂回路も少しだけ登りがあるので、そこそこ景色がいい(゚∀゚)♪
林道から見た山並み!あの高台が馬転坂の正規ルートです。矢印のところを拡大してみると、
観音様が海を眺めていらっしゃいます。観音様のおられる造成地は、ベンチが置かれた展望台になっているみたい!
海を望むコース最初の展望台です。いいなー馬転坂を歩きたかったな~(´・ω・`)
迂回路をしばらく進んでいくとフェンス沿いの道になりました。
フェンスのすぐ下に国道が並走しています。
フェンスが見えてくると本来のコースが合流。
こっちに通行止めの看板とかないけど通れるのかな?でも道標が迂回路を指してる。
〈7:47〉そのまま道なりに下ってくると国道と合流。ここが西浜入口。西浜バス停があります。
長井坂の案内看板もありました。この案内看板に馬転坂の通行止め・迂回路の案内もしっかり貼り出されていました。
タオの峠:西浜バス停→和深川王子神社
案内看板の脇から、こちらの道を進んでいきます!ここからタオの峠の入口まではしばらく舗装路です。
少し進むとJRの線路と並走。
さらに進むと樹林帯に入ります。
〈7:58〉樹林帯に入ると脇に「タオの峠」の入口があります。
タオの峠は”峠”という名前の割に、ほとんどアップダウンがなく距離もほんの少しだけ。このまま舗装路を進んでもすぐに合流できるので体力次第でどちらを選んでもOK!
のんびりとした山道。
少し道幅の狭い箇所にはロープが張られていました。
一里塚松跡。
仏坂にあった”桂松跡”が和歌山から25里(100km)の地点であるといわれています。江戸時代の紀行文によると安居から周参見までの行程が3里。
桂松跡が安居から過ぎた場所にあるため、周参見から過ぎた場所にあるこの塚松跡が桂松跡から3里であると考えられています。
でも間にあるはずの他の一里塚はどこ?
一里塚松跡から下ると舗装路と合流です。
〈8:09〉タオの峠の入口。たった10分ほどの山道でした。
舗装路と合流してそのまま進む!
この右手に見える山はおそらく双子山だと思います。登れるのかな?
タオの峠を過ぎると和深川地区!のどかな田園風景が広がります♪
石垣の上のお家からすごい勢いで吠えてくるワンちゃん。朝っぱらから驚かせてゴメンやで(´・ω・`)
集落内の道と合流してそのまま道なりに進んでいきます!
〈8:28〉集落を端まで抜けると、和深川王子神社に到着です!
”王子”の名前の通り大辺路に数少ない王子社の一つ!
江戸時代初期に創建された神社なんだそう。江戸の時代は官道としても利用されてきた大辺路なので、多くの旅人を見守ってこられたんでしょうね~。
和深川王子神社が今回のコースのほぼ中間地点となります!
神社の隣にはトイレもあるので少し休憩してきましょう~。
長井坂:西登り口→東登り口→見老津駅
〈8:38〉10分ほど休憩してリスタート!いよいよこの区間のメイン「長井坂」へ向かいましょう!
和深川王子神社の目の前は美しい棚田が広がっています(゚∀゚)!そろそろ日も昇ってきて山あいの集落が照らされてすごくいい風景でした♪
しかもちょうどJRの列車が通って、思いがけずいい写真が撮れましたヽ(^o^)丿
帰りにこの電車に乗るから、ここの景色が帰りも楽しめます♪
熊野古道を歩いていて、個人的にすごく気に入っているのが、帰りの電車からコースが眺められるところ。1日を振り返りながら帰れるのが楽しい(*´ω`*)
神社を出発してすぐ目の前に見える山並みが長井坂です。
紀勢自動車道の高架。
〈8:50〉高架の真下あたりに長井坂の西登り口があります。
案内看板の前のベンチにいい感じのコメント!関西人!
それでは楽しみにしていた長井坂スタート!
石垣の間を登っていく!
長井坂の登り始めは結構急です!
でも急登は距離で600~700mほどと短い間だけ!この道標で稜線に合流です!
ここから見老津駅までは約4km!その内、2.5kmほどはほぼフラットな尾根道となります♪
こんな感じの道幅広めのゆったりとした道!
熊野古道のコースには杉・ヒノキなどの植林が多いですが、長井坂のコース内はほとんどが自然林となります♪
木々の隙間からは海(゚∀゚)!!
のんびり進んでいくと道標のところで右から道が合流します。
〈9:04〉ここが道の駅分岐。右手に下っていくと道の駅「イノブータンランド・すさみ」へ下れます。
道の駅分岐からしばらく進むと「版築(段築)」の看板が立っています。
長井坂の象徴「版築(段築)」
”長井坂”で画像検索するとこの版築の画像がヒットすると思います!
版築・段築は古道平面のレベルを一定に保ち交通をスムーズにするために土手状に整形された道!
官道として利用されて大辺路の構築・維持管理上からみて非常に重要な事例であると考えれています。
土を固めて整地されているから歩きやすい!熊野古道って言えば”石畳”ってイメージだけど、こういう道も珍しくていいですね!
木々の隙間から枯木灘。
東側の景色!海岸沿いの一番奥に見える突き出た半島が本州最南端の潮岬だと思います!!
ここも版築かな?
とっても歩きやすい尾根道なのでどんどん進んで、気づけばコースも半分を通過していました。
山のピーク(標高300mほど)を過ぎると緩やかな下りとなります。
この下り道は石段が(゚∀゚)!熊野古道らしさも!!
石段を下っていくと、
〈9:45〉県道に合流しました!
この県道合流点はかつて茶屋があった”茶屋の壇”という場所。
少し県道を進み、すぐに再び山道へ。
ちなみにこのまま県道を下っても見老津駅へと繋がっています。ここからかなり急な下り坂となるので、疲労が溜まっている場合はこのまま県道を下るのもありだと思います。
再び山道へ。
九十九折の急な下り坂。
からの一直線の急坂。このあたりは落ち葉が少し滑りやすかった印象です。
ぐんぐん下っていく!この建物の脇を通過する道が少し狭めでした。足元注意!
麓が見えてくると、
〈10:03〉長井坂の東登り口に到着です!!
登り口に長井坂のマップがありました!
登り口から見老津駅はすぐ!踏切を渡り、
国道に合流。
〈10:06〉国道沿いに小さな駅舎の見老津駅!!
今回はまだ午前中だったので、そのまま引き続き、見老津駅から串本町の田子駅まで歩きました!駅に設置されている自動販売機で飲み物を補給!
駅前から長井坂を振り返る!ほんと良いコースだったな~(*´ω`*)
まとめ
ということで今回は大辺路④「長井坂」編でした!
この区間は馬転坂・タオの峠と適度に地道の区間があり、また舗装路区間も和深川地区の長閑な田園風景が広がる古道感あふれるコースでした!
メインの「長井坂」は登り口付近の登り下りはなかなか急ではありましたが、尾根道はフラットで本当に気持ちの良い山歩きが楽しめました♪
古道の面影が残る版築や石段。自然林の隙間から時折眺める枯木灘と海岸線。「長井坂」は大辺路のベストコースの1つなのはもちろん、熊野古道全体を通しても名コースに数えられると思います!!
今回の区間で大辺路のいわゆる”難所”と呼ばれるコースはほぼ終了!次回からは本州最南端の串本町を目指して古道を進んでいきます!
では次回の「見老津駅~田子駅」に続きます!
「大辺路」についてまとめました!
今まで歩いた熊野古道はこちら↓